「退職して実家のほうに戻ったのですね。結局、実家のほうには帰れなかったのですけど。親もちょっと偏見的な思いというか、怖さもあったのか、だから理解が得られなくて、親戚の所に身を寄せていて、それで居候させてもらっていたのですけど。
結局、居候していても、気まずいというか、やはり親戚といっても結局は他人という思いにさえなってきて、しんどさを感じて、入院になったり。それで、結局、実家に帰ることになったとしても、実家から自分はどこにいけばいいかも分からなくて家にいたというか。だから退院の先に、退院後、こういうものが、地域には障害者が通うような施設がありますよというような、その当時は示してくれる方が、ほぼいなかったというか。いわば医療と福祉がつながっていなかったり。
入退院を繰り返す中で、一度だけ、『笠原君は、退院後どこ行くの?』と言われて、住む場所を言ったら、そこの周辺の福祉サービスが載った一覧をパソコンで出してくださっていて、退院時に渡してくださったケースワーカーがいて。そこから、初めてですね、自分で電話してつながったというか。障害者地域活動支援センター。(その時は)30代だと思う。」
地域活動支援センター:地域で生活していくうえで生じる問題、相談などに対応する機関。ほかの機関とも連携しており、社会資源(福祉サービス)の紹介や住宅、職業、生活支援サービスなどの情報が得られる。障害者自立支援法に基づき2006年10月から制度化された。
「自分の居場所があるというか…。どうしても家にいたら親との関係性が悪くて、距離を取りたくても取れなくて。それである意味、理解しようと思っても難しいのは分かっているのですけど、僕の中では、やはり過去のことを親にぶつけていたり、そういうことをずっとしていたので。
地域活動支援センターを知って、行き始めて、同じような精神疾患を持った方、まあ、背景は違うかもしれないのですけど、悩んでいることとかもそれはいろいろあるので……。だけど、やはり精神疾患になったことで実家に帰ったということもあったのでなかなか友達がいなくなったというか、つながりがほんとなくて……。(地域活動支援センターで)同じ精神疾患を持った方と友達が何人か出てきて、そこからセンターが終わったらカラオケに行くとか、ご飯を食べに行くとか、いろんな広がりがだんだん出ていって……。」