統合失調症と向き合う

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寺島昭さん
寺島昭さん
(てらしま あきら)
1976年(昭和51年)生まれの41歳(収録時)。24歳頃に睡眠障害が出て精神科を受診。「うつ状態」からその後、27歳の時に統合失調症と診断された。入院の経験は無い。武道など身体のトレーニングで症状が良い状況に。現在は、就労継続支援事業所A型とリサイクルショップの2つで週5日、午前10時〜午後5時ぐらいまで働いている。長野県諏訪でジークンドークラブを設立して活躍中。
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4症状の安定
Q.症状あるいは生活が安定したと感じたのはいつ頃ですか

「これは結構あとになりまして。まず、統合失調症で苦しんでいたところに、父親が今度、身体に障害、脳血栓という病気になったのですよね。(私が)37(歳)かそこらだったと思います。その時に、自分が、家計・家庭が切り替わる、要は主軸が切り替わる時、自分でやってみようといった時に、いろいろと改善はしていったのですけど。まずそれで何を改善するかというと、例えば、家庭のことは自分でやる、あとは日々トレーニングをして汗をかいて、ということをやっていましたけど。

それで、だんだんだんだんいろんな、多少、紆余曲折はあったのですけど、まあ話せば長いのですけど、そういうことがありまして、なんとかここまで回復したのはありますけれど。

鍛えて、いろいろと汗を流して症状が軽くなってきたと同時に薬も減ってきまして。1日1錠に変わったのですよね。前は、1食に対して7錠飲んでいたのが、1日1錠でなおかつ体重も落ちてきた。体重も120(kg)だったのが、今94(kg)くらいになって……。」

Q.トレーニングをしようと思われたきっかけを教えてください

「父親とちょっともめたことがあって。『俺はジークンドー(裁拳道)ってやつがやりたいんだけど東京にも行きたい』と言っていたのを反対された時に、東京に出ていったのですよね。それで、(結局は)ちょっと失敗して……。で、父親も、『息子のことを反対しちゃあ、俺おいていかれるな』ということがあって、それで和解して、今、ジークンドーをやっているのですけども。

前からブルース・リー先生(香港の俳優、武道家)のファンだったのですけど、だんだん志が途絶えてくるのですよね、病気になっていって。で、途絶えていった時に、いざ、主軸が替わった時に、ブルース・リー先生の哲学書があったのです。その哲学書で学んでいるうちに、自分の考え方もいろいろ変わってきまして。それに対してブルース・リー先生に回復した恩返しをしたいと思って、ジークンドー(截拳道)を学ぼうとやったのですけど……。

これは、ブルース・リー先生の受け売りなのですけど、制御性と自然性というものがあるのですけど、要は制御性を‘薬’と置き換えて、自然性を‘運動性’に置き換える。それをうまく混ぜ合わせた時に、要は、自分自身が回復したと思うし、他の人も変わると思うのですよね。薬ばかり飲んでいると副作用で、ろれつが回らなくていけないと。ただ、じゃあトレーニングばかりしていて薬を飲まないとなると、逆に今度、病気も更にどんどんどんどん悪化していくと。それをうまく合わせた時に、自分なりに回復ができたとは思っていますけどね。まぁ、“陰陽”みたいなものなのですけど。

それからいろいろと、『ブルース・リー・ノーツ』を読みながら、ブルース・リー先生の(が)敬愛していた宮本武蔵先生の『五輪書』も読んだり、禅も読んで、いろいろやって、今では、座禅会も行くようになって、精神修行もやっていますけど。」

ジークンドーの練習
ジークンドーの練習をする寺島さん(右)
Q.そもそも『ブルース・リー・ノーツ』に出会ったきっかけは?

「YouTubeでブルース・リー哲学というのがあって、そういうものをアクセスして見ていたりして。その次に、じゃあ本では何かないかとAmazonで調べたらちょうど『ブルース・リー・ノーツ』という哲学書があって。その時に『じゃあ買ってみようかな』と買った時に、ものすごい衝撃を受けて……。もう涙腺崩壊でしたね。

最初の頃は、ギターをやっていまして、エレキギターで、XJAPANのHIDEの、やはりこよなくファンだったので、その時、ギターをやっていたのですけど、いざ今度、武術をやるとなった時に、もともと好きだったブルース・リー先生のジークンドーをやれるということだったので、そっちのほうに主軸が替わってきましたけど。そうなると、やはりこころの支えになったのは、ブルース・リー先生だったのです。」

Q.薬の減量を主治医に相談したのでしょうか

「鍛え始めて痩せ始めてから、『先生、この薬重たいんです』と、だんだん相談していくうちに、薬が4錠から3錠、3錠から1錠になっていって。じゃあ、今度は、1日2回にしよう、そのうち1回にしようとだんだんだんだん変わってきたのですけども……。

(トレーニングをしてから)半年ぐらいで変わってしまいました。先生もびっくりしていましたし、最終的に、先生の言葉が『まあ、寺島さんなら乗り越えられるから大丈夫でしょ』というふうに太鼓判を押されて……。」

Q.現在、飲んでいる薬を教えてください

「1種類ですね。エビリファイというお薬です。37、38(歳)の時から1種類ですね、ずっと。

朝、一度仕事に行って帰ってきて、トレーニングで汗かいて、帰ってきて、料理とか自分のお弁当を作って、それから自分の趣味をやって眠るというサイクルができたら、別に、1錠で足りるような感じ……。

(副作用は)全然ないです。」

エビリファイ(アリピプラゾール):非定型抗精神病薬

Q.症状が悪化しないように注意していることはありますか

「それは、やはり、1回メンタルバランスを壊してしまった人間なので、そこをどういうふうに、自分のメンタルバランスを整えるかということを考えて注意してやっていて。もちろん、シャドウをやっている時も、動きが過敏すぎると、ああっと気持ちが上がっている。あまり遅すぎると下がっているという意味で、動きを変えたり、そういう時の鍛錬の仕方を変える。

あまり過敏な動きをしていたら早く寝るとか、疲れている時は早く寝る。過敏に動いている時は何か発散できるものをやったりして、自分のメンタルバランスの波を少しでも安定させるための努力はしていますけど。」

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