がんと向き合う

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横井 麻珠美 さん
(よこい・ますみ)
1997年4月より癌研有明病院に勤務(当時は癌研究会附属病院)。特にがん化学療法看護に深くたずさわりたいという思いが強く、入職以来、化学療法に関連する部署に所属。近年、入院期間が短縮され、外来治療に移行している医療の現状から、外来で通院される患者さんの看護を大切にしたいと考えている。
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1外来通院での抗がん剤治療

「化学療法(抗がん剤治療)は最近、安全に外来で治療ができるようになってきています。当院のシステムですと、朝、病院に来て採血をして、採血の結果を診察のときに見て、体調もよいということであれば、『予定通り、治療しましょう』という主治医のOKが出ますので、当院の外来治療センターで(点滴による)治療をしていただいて、最後にお薬をもらって自宅に帰る、という流れになっています。

外来で受ける抗がん剤治療の流れ
(癌研有明病院の場合)
来院→採血→診察→抗がん剤治療(点滴)→帰宅

最近、内服の抗がん剤もたくさん出ていますので、(病気の種類によっては)外来治療センターで点滴をするのではなく、自宅で抗がん剤を飲みながら治療をしていくという方法もあります。

大腸がんの患者さんに関しては、肩にポートというものを留置して、自宅で患者さんが管理できるようなやり方もあり、抗がん剤を携帯用ポンプに入れて自宅に持って帰って、3日後ぐらいにそれが空になったときにご自身で針を抜いていただくという治療が主流になっています。」

参考リンク:「埋め込み型ポートとは」(がん情報サービス)

Q.日常の過ごし方は?

「あまり家に閉じこもらないで、普段と同じ生活ができるのがいちばんよいのかなとは思います。ただやはり、白血球数が下がる時期は人ごみを避けていただくということはありますが、基本的には仕事をしながら治療を継続している方もいらっしゃるので、普段どおりの生活ができるのが本当はいちばんいいのかなと思います。」

Q.身体がだるいときは?

「体力が落ちていてだるいときは、もちろん無理をしないで休むということでよいと思いますが、だからといって『家でじっと休んでいてください』『布団を敷いて寝ていてください』というものでもなく、逆に普通に家事や仕事をすることで気分転換にもなりますし、治療していることを忘れたりして、逆にだるさが少し軽減することもあります。もちろん疲れたときは、休んでいただくというのは大事だとは思います。」

●入院で受ける抗がん剤治療との違い

「入院しているときと違うのは、(自宅だと)医療者が周りにいないということと、副作用が出たときに自分で対処をしなければいけないということです。ですので副作用の予防や、あと実際に副作用がでたときに自分で対処をすることができるように、外来でのセルフケア支援に力を入れてやっています。」

●自宅での副作用への対処

「たとえば吐き気止めとか、便秘のときの下剤、あと自宅で熱が出たときのための抗生剤をあらかじめ最初に出しておきます。そうした副作用のための薬がだいぶ開発されてきて、事前にしっかりと処方できるようになってきました。あと抗がん剤が新しくどんどん開発されてきていますので、当院でも初回はだいたい入院して抗がん剤治療をしますが、2回目以降は外来で安全に治療を継続できるようになってきています。」

Q.自宅で気になる症状が出た場合は?

「気になる症状があれば、我慢をしないですぐに医療者に伝えていくということが、重症または悪化させないためのひとつの対策だと思います。

たとえば当院であれば救急外来がありますので、日中ですと『ここに電話をかけてください』という緊急時の連絡体制を事前に患者さんに伝えておきます。なるべく我慢しないで、処方されている薬で対処できるものであれば、まずはそれを服用していただきます。『改善しない、もしくは悪化していくようであれば電話をください』とお伝えします。そこで、たとえば緊急に受診が必要なのか、あるいは土日であれば休みが明ける月曜日まで待ってもよい状況なのか、ということを医師が判断します。緊急性かそうではないかということをそこで判断しますので、『まずは電話をしてください』と伝えています。」