「化学療法もいろいろ進歩してきていますので、がんと告知されて治療をはじめた方も本当に5年、10年と治療を長期に継続されている方が本当に多いのです。
もう10年来の患者さんとの仲というのもあります。外来は、入院とは違ってなかなか医療者との接点が少ないので、たとえば週に1回、月に1回で通われたときに、やはり『知っている看護婦さんが外来にいるととても安心する』というその一言が私にはとても嬉しいので、なるべく患者さんの顔を見たら声をかけるようにして、普段と変わりない会話ですが、それを重ねていくことで信頼関係は築いていけます。そういうなかで、副作用やそれ以外のことで困っていたりするときにぽろっと患者さんが話してくれたことをなるべくキャッチできるようにして、ケアにつなげていければよいかなと日々心がけてはいます。
お薬によって副作用もいろいろ違いますし、まったく副作用がないときもあります。必ずしも治療している間ずっと副作用でつらい思いをするというわけではなく、皆さん仕事をしながら、家事を続けながら、育児をしながら治療を継続されている方が本当に多いですね。」
「治療を始めるときから緩和ケアは始まっていると言われています。患者さんのなかでは特に“最期になっていくところ”とイメージしている方がまだまだ多いのですが、“症状をコントロール・調整してくれるところ”でもありますので、たとえば痛みが出てきたときに早めに緩和ケア科にかかってもらい、痛みのコントロールをしてもらいながら治療を継続していくという方法を取るのがいちばんいいかなと思います。緩和ケアと化学療法は同時進行なのですね。
毎回必ず緩和ケア科を受診をして痛み止めを出してもらいつつ、化学療法が奏功して痛みがとれてくれば、徐々に受診も1ヵ月に1回、2ヵ月に1回と伸ばしていって、緩和ケア科にかかる必要がなくなるという方ももちろんいますので、そうなっていけるように私たちも支援しています。」