高田 「はじめまして、高田と申します。よろしくお願いいたします。今日はご主人様のことで、お見えになったということですね。」
相談者(患者の妻) 「主人が大腸がんの手術を受けるのですが、人工肛門だけはつけたくないと言い張るのです。どうしたらよいのでしょうか。」
高田 「人工肛門のことを、もしかしたらご主人も少し誤解をされている部分があるかもしれないのですが、今までの排泄方法とは少し変わりますが、基本的には実際の日常生活は今までとそれほど変わらないで、皆さん過ごせています。
また排泄ケア専門の看護師がいますから、外来通院した際には人工肛門のケアの仕方とか、便の袋(パウチ)はどういうものがよいか、どんなことが困っているかを聞きながら対処してくれます。
ケアの仕方が慣れてくれば、問題はずいぶん変わってくると思いますので、まずはご主人が、人工肛門という排泄のスタイルが少し変わるということを、どう受け止めてくださるか、そこがいちばん大事なことかなと思います。」
相談者 「人工肛門になっても、夫は好きな庭仕事を続けられるでしょうか?」
高田 「確かに重たいものを持ったり、パウチを圧迫するような動きは(人工肛門に)影響があるとは思いますが、工夫をすることはできると思います。たとえば作業台みたいなものを用意して、かがまないでも作業できるような物を作ってあげるとか、あるいは物を動かすときに、奥様が少し手伝ってあげるとか。一緒にすることによって、ご主人が少しできなくなったところを補ってあげるというのはできるかもしれないですよね。
だから今まで自分がやってきたことを諦めないで、きちんと治療もするというのが、やはり今、お気持ちの切り替えという意味で大事だと思います。
是非今度ご主人も連れて、一緒にいらしてください。人工肛門をつけられたあと受けられる、いろいろな福祉制度もありますので、それはまた時期が来ましたらご説明していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。」
相談者 「こちらこそよろしくお願いします。」
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生活問題は、治療とは別のもので、治療そのものは医療者と一緒に病気と闘っていくという部分ですが、それと並行して生活もしていかなくてはいけない、けれども今までのような健全な生活というより、治療をしながらの生活、いわゆる療養生活に少し方向性を変えていかなければならない、というところで出てくる問題です。そこに対処していくのにどうしたらよいかということで、皆さん悩んでおられることがあると思います。
それに対して私たち社会福祉士や医療ソーシャルワーカーが、病院など医療の場にいることによって、生活の部分をどういうふうに建て直したらよいかをアドバイスしたりお手伝いしたりして、生活していける両輪になればと思います。」