4ポリープとがん Q&A
「ポリープにもいろいろ種類があります。ずっと良性のまま悪性化しないポリープもありますし、だんだん大きくなって将来的に早期がんから進行がんに移っていくポリープ(がん化するポリープ)もあります。
10mmという大きさがひとつの目安になります。ポリープが10mmを超える場合には、がん化の可能性が少し高くなり、がん化している割合(病理でがんと診断される割合)は30%を超えると言われています。5mm以下の小さいポリープは、がん化の可能性が低いため、経過を見て来年また検査をすることもありますし、場合によっては大腸内視鏡でそのときにとってしまうこともあります。
患者さんによっては、たくさんポリープのある方もいらっしゃいますので、すべてを処置するわけにはいきませんが、ポリープが大きい場合には、やはりがん化を念頭において、それに対する検査あるいは処置が必要になります。ポリープが小さい場合には、内視鏡検査をする先生の判断によりますが、一般的にはがん化している可能性は少なく、腺腫という良性のポリープであることがほとんどのため、とる場合もあれば、経過をみる場合もあります。」
「ポリープは、それが悪性の成分を含んだものに変化していくポリープか、そうでないかで大きく分かれます。内視鏡検査をしたときに見たポリープが将来的に悪性化(がん化)していくポリープかどうかは、実はなかなか判断がつきにくいのです。
ポリープの表面の状態がでこぼこしているか、出血しやすい状態になっているかによってもずいぶん違います。小さくても、最初から進行がんの状態になっているポリープもありますから、注意しないといけません。ですから、専門家の先生が一部組織をつまんで、そのなかにがんの成分がないのかどうかを確認する病理検査(生検)が非常に大事です。」
「通常は問題ありません。ただこれがたとえば5mmを超えているようなポリープの場合には、一般的にはとります。5mm以下の場合は、がん化の頻度は非常に低いので、経過観察ということで、『来年、あるいは再来年もう一度検査をしましょう』とお勧めすることが一般的です。」
「切除してもよろしいのですが、ひとつには、がん化していない腺腫という状態であれば、悪さをすることは一般的にはないですから、大きくなってこないのであれば無症状なわけです。内視鏡でこれをとるということは、そこの部分に電気をあてて焼き切るわけですから、体にとってやはり少し負担はかかります。痛みは一切ないのですが、傷が大きければ、場合によっては穴があくということもないわけではありません。このくらいの大きさのポリープでしたら、まずそういう危険性はないですが、やはりそういう処置をするとなると、処置に伴う合併症も念頭におかないといけなくなります。ですので病変の大きさ、あるいは形、性状を見て、処置をするかしないかを判断するわけです。」
「一般的には、小さいポリープがある程度の大きさのがんになるまでには数年かかると言われています。通常、進行がんという状態になるまでには5年ぐらいの経過をたどっていることが多いです。当然、少し早く大きくなる場合もありますが、一般的には5年というのがひとつの目安になります。『大腸内視鏡検査をして何もなければ、5年後の検査でいい』というのは、ひとつには、がんがもしあったとしても大きくなるにはそのぐらいの時間がかかるということが、その根拠になっています。
ただし、一般的な大腸がんの発育過程は、腺腫がある程度大きくなってきて、そのうちの一部ががん化してくるものであると言われていますが、小さいポリープで、その部分に腺腫がなくいきなり細胞ががん化しているという場合があります。たとえば1cmぐらいの小さいポリープだったのが、1〜2年の間に筋肉を突き抜けるぐらいのがんになってしまう場合もあります。と言いますか、それは最初からがんになっているわけで、それが進行がんまで発育してしまうという場合がないわけではないのです。ただそれは、われわれが形を見ると、腺腫からきたがんなのか、いきなりがんになっているのかをある程度判断することができる場合もあります。その判断が難しい場合は、細胞をとって検査をすれば、ある程度のことはわかります。」
「特に注意点はありません。普通の生活をしていただいて結構ですし、『1年後に検査をやりましょう』ということであれば、必ず検査を受けていただくのがよろしいと思います。ポリープ自体に変化がないのかどうか、ちゃんと変化を見ておくことが大事だと思います。1年に1回の検査をしておけば、一般的には手遅れになるということはないだろうと思います。
ただひとつ注意しないといけないのは、大腸は1.5mくらいあり、ひだに小さいポリープが隠れている場合があります。これを見落とす、あるいは気が付かない場合が当然あります。一般的にはくまなく見てはいるのですが、1回の検査で『ちゃんと見ましたよ』と言っても、やはりポリープがひだに隠れている場合があります。ですので『1回の検査で大丈夫だったから、もう全然問題なし』ということではなくて、もし気になるようであれば、あるいは何らかの症状があるような場合には、1年後に大腸内視鏡検査をして、2回検査をすれば、まずは進行がんの見落としはなく、問題ないと考えていただいてよろしいと思います。」
「ないわけではないですね。大腸の粘膜自体は全部つながっていますから、1ヵ所に出てきたということは、やはり他の部分にもポリープが出てくる可能性があります。ポリープが見つかった方は、やはり定期的に診ていくことは大事です。」