がんと向き合う

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1大腸がんの手術の基本
① 十分な「安全域」をとる

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「大腸がん手術の基本は、まず十分な『安全域』をとってがんを取り去ることです。がんは細胞レベルで広がっていくので、必ずしも目で見える部分だけにがんが留まっているとは言えません。ですから十分な安全域をとり、大腸の正常な部分もある程度切除することが必要です。つまり、正常な部分にがんを全部閉じ込めるようなかたちにして病気の部分を取り去ることが、がんの手術ではまず大事なことになります。そして残った腸同士をもう1回つなぎ合わせます。これを吻合(ふんごう)と言います。」

Q.必要な「安全域」とは?

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「がんは内視鏡でその位置がわかっていても、腸の壁を伝わって外側あるいは横に広がっている場合があります。

そこで、がんの周辺の組織を含めてしっかり取ってくることを考えた安全な領域(安全域)が定められています。結腸がんの場合はがんの両側を10cmずつ、直腸がんの場合は口側(口に近い側)を約10cm、肛門側は2cmあるいは3cm(肛門からがんまでの距離による)という範囲で腸を切除します。」

② リンパ節郭清

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「腸の壁の外側には一定の割合で『リンパ節』というものがあり、大腸がんが進んでくるとリンパ管を伝わってがんが及んでいく可能性があります。そのリンパ節のがんを取ることを『リンパ節郭清(かくせい)』と言います。腸を養っている血管あるいはリンパ管を含む脂肪の塊のような膜を『腸間膜』と言いますが、その腸間膜を含めて取ってくる手術です。

がんが腸の周辺のリンパ節に転移している場合もあるし、していない場合もあります。それを手術のときに判断するのは難しいので、がんの深達度(根の深さ)がどの程度かを考慮して、安全な領域を考えて取ります。どの部分まで取ればよいかというリンパ節郭清の範囲は(ガイドラインで)定められているので、それに基づいて手術をします。

以上、①がんの部分を含めて腸を安全な領域で切り取ってくること、②リンパ節を安全な領域で取ってくること、この2つを組み合わせて、正常な部分にがんを完全に閉じ込めるかたちで、がんを根こそぎ取り去ります。ですからうまく取れれば、がん細胞は体の中に残っていないことが期待できます。」

●手術の対象

「基本的にステージ0あるいはステージ1の一部は内視鏡治療が行われます。一方、進行したがんに対して行うのが手術で、ほかにも抗がん剤などいろいろな治療法がありますが、大腸がんを根治的に退治するには、現時点では手術がもっともすぐれた治療方法と考えられています。」