「病院を選んだもともとの理由は、やはり仕事をしている関係上、自宅に近いところというのが第一条件で、その次に先生の手術の腕、がんを見分けられる腕、目利きかどうかでした。しかしそれについての情報はまるっきりなかったので、それは正直言って困りました。国立がんセンターに行くことも考えましたが、場所が築地で遠いので、どうしようかなと考えました。闘病記などをみながら情報を集めると、手術自体はたいへんな手術ではないと僕自身は認識しました。ただしがん細胞をみつけられるかどうか、それがいちばん大切だと判断したので、万が一何かあった場合は、手術が終わってから違う病院に転院する覚悟があり、手術に関してはどこの病院でもいいと思いました。やはり家族のことを考えたときに、自宅から近い病院がいいと判断したので、その辺に関しては割り切っていました。 」
「主治医は年輩の人で、実際手術をしたのは二番手の若手の先生でした。その先生とはきちんとコミュニケーションが取れて、どういう手術をしてその後の治療をどうするかということに関して、インターネットなどで調べたものを持参して、合っているかどうかチェックしながら、コミュニケーションを図りました。わからないことは『わからないので、きちんと説明していただけませんか』と聞くことを前提にしていましたから、信頼関係は築けたと思います。
研修医の方もおられましたから、手術をするときにがん細胞だけ取っていただければ、誰が縫合しようが構わない、任せますよ、とお任せしました。やはり研修医の方も練習しなくてはいけないだろうし、そういう機会も必要だろうと思いましたので。入院中も点滴や注射の際、新米の看護師さんが何回も針を刺すのを失敗しましたが、それが技術の向上につながればいいと思ったので、痛くてもそれぐらいは我慢しました。一方で、看護学校できちんとそうした練習を積んだほうがいいかなということも感じました。 」