「がん患者大集会 第1回目が大阪であり、僕は退院後、その開催があるということを知り、大阪に行きました。そのときに佐藤均さんという大腸がんの先輩で、いまはもう亡くなりましたが、その方がオキサリプラチンという抗がん剤の承認のためにいろいろな活動をされていて、やはりそうなのかと思いました。大腸がんの情報がなかなか取れなかったので、そういう人が集まるのであればどうしても行ってみたいと思ったのです。次に東京のNHKで行われた第2回のときには、どうしてもお手伝いをしたくて、お手伝いをするなかで立川のブーゲンビリアという乳がん患者の会の内田さんと出会いました。『すごいな。がん患者ってこんな明るいのか・・・』と僕は本当にびっくりしましたね。がんのイメージが悪くてみんなふさぎこんでしまう方が多いなか、女性だから明るいのか、乳がん患者だから明るいのかわかりませんが、とにかく明るかったので、こういうふうにしないといけないなというのは、男性としても感じました。“がん=死ではない”ということを、きちんと世の中に定着させるためにも、うちの子供にもそれを説明して納得するのに2年くらいかかっていますから、その活動の一環として患者会はすばらしいと思いました。いまは、立川にあるその乳がん患者の会に勉強のつもりで入っております。皆さん前向きに生きています。こんなに前向きに生きていいのかと言うくらい、前向きに生きているのが刺激になりましたね。やはり“生きている”という目の輝きが違います。ちょっと違う世界に踏み込んでしまったというか、明らかにわれわれが経済活動している社会生活とは違う世界で、でもそれは必要なことではないかと思っています。」
「入院中を含めて、家族はやはりストレスがあったと思います。家族をもフォローアップできるような会があるといいなと思っています。患者同士は患者の気持ちがわかり、患者になって治療方法に悩んだり精神的に落ち込んだりいろいろな壁にぶつかったときは、患者同士は先輩後輩みたいなところがあるので、経験はすごく知識になりますが、家族の気持ちはやはり家族にしかわからないのではないかと思うのです。お互い察することはできますが、家族として経験していないのでわからないというのが正直なところです。ですから、がん患者の家族の会が必要だと思います。患者が入っているのではなく、がん患者の家族だけが集まった会です。患者会というと、がん患者の家族も含めていろいろな方が集まっていますが、それも当然必要ですが、本当に純粋に患者の家族だけが集まって、あのときはどういうふうに対処したとか、精神的なフォローアップはどうなったとか、子供がいながら旦那さんはどうなのか、奥さんはどうなのかという本当の思いは、やはり体験された家族の方にしかわからないのではないかと思うのです。」