「見つかったのはちょうど2005年です。7月20日に日本に帰国したときに、3日ぐらい経って夜中に熱が出たのです。40度以上と今までにない経験でしたが、朝には熱が下がっていたので、疲れていたのかなと思いました。はじめは親にも言わなかったのですが、また午後になって熱が出てきているのがわかり、あまりにもすごい熱なので、すぐに主治医に電話をして診察をしてもらいました。
最初は悪性の風邪と疲れじゃないかということで3日間点滴をすると熱も下がり、『まぁ大丈夫かな』と思いました。でもまた2日ぐらいすると微熱が出るのです。ちょうどお腹の左下がものすごく痛みを伴い始めて、その痛みがなんとなく噛みつかれるような痛みで、しばらくじっとしていると和らぐのですが、その周期がだんだん近くなってくる。それでやはり変だと思ったのですが、まあ大丈夫だろうと自分に言い聞かせたわけです。
夏(日本に)帰って来ると娘と旅行に行くのですが、その年はグアム島に行くことになっていました。出発する日に母が『もう一度診てもらってから行ったほうが絶対にいいから、主治医さんの診察を受けてから行きなさい』とあまりしつこく言うので、飛行機も夜の便だったので午後に行きました。
主治医さんが『どうしたの?』と言うから、『ここが、お腹の少し左下が痛い』と言うと、『ちょっと寝てごらんなさい』とさわられるとコリコリしているのです。そこでお医者さんに『これは変だ。外国旅行は行かないほうがいい』と言われて、私は『わかりました』と断念しました。それで『明日、市民病院の外科部長に診察してもらうように紹介状を書いたから、すぐ行きなさい』と言われました。
それで、(翌日)レントゲンを撮った時点で、もう腸閉塞を起こす寸前だったということがすぐにわかり、それですぐに入院したわけです。」
「翌日、大腸ファイバーを行ったときにはもう『かなりがんが大きい』とハッキリと言われました。それでとにかく『早く手術をしたほうがいい』と。それで手術をしていただいて、私の命が救われたということです。がんが5センチ以上になっていて、本当に腸閉塞を起こす寸前で、リンパ節にも転移していたと伺っています。手術を日本でしたということと、主治医にものすごく早くことを進めていただけたというのが、私が命拾いをしたおかげのひとつだったので、すごく感謝しています。」