「デイケア病棟というのは何室かお部屋があるのですが、最上階にあるので非常に明るいのです。看護婦さんも皆お友達になりました。皆、とっても面白いのです。明るくて楽しいことをいっぱい言ってくれるし、暗いことは絶対に言わない。いつも皆さん笑ってニコニコしていて、すごく励まされるというか。どんなに自分がしんどくて、どのように思っていても、絶対に暗いことは言わない。またとても清潔感もあって、（病院が）楽しいということはないですけれども、よかったと思っています。

日本の方ももちろんプロフェッショナルだから非常に親切で、優しい看護婦さんをたくさん拝見しました。でもイタリア人だから性格がもっと明るくて、いろんなお話をどんどんしてきます。プライベートなこともいろいろお話ししたし、自分の生活だとか、ファミリーなんかのことも結構話してくるし、もともとコミュニケーションがかなり強かった（多かった）というのを覚えています。だからそれはもうお国の違いかなと私は思いました。非常に楽しいと言うか、親しみのある人が多かったです。」

「デイケアセンターのがんの先生は、私の主治医のお弟子さんというと失礼ですが、若手の先生で、まず非常に詳しく説明をしてくださるのと、励ましながら『8クールがんばって行こうね』と言われる非常に優しい先生で、自宅の電話番号と携帯番号を教えてくださり、『24時間いつもこの携帯はついているから、何かあったら心配せずに電話していらっしゃい』と言って、非常に精神的な安定感を与えてくれる先生だったと覚えています。先生自身、治療がものすごくたいへんだというのはわかっているけれど、『僕を憎まないでね』とそんなジョークを加えながら、行くといつも『今日もがんばろう！』という感じで、治療を受けさせていただきました。」

「『今日これが最後（の抗がん剤）だよ』と言われたときには、『あぁ、嬉しい』と思いました。これさえ我慢すれば救われると。最後のクールが終わって『もうこれでこの病棟に来なくていいんだ』と思ったときは、たいへんだったけれどもすごく嬉しかった。あの時は、地獄から逃れられると思いました。でも看護師さんたちは『そんなこと言わずにまた会いに来てね』なんて言うので、『絶対また会いに来るわ』と言って、その後2回ぐらいその病棟に本当に会いに行きました。」