「大腸(直腸)がんと子宮頸がん(ステージ1a1)が見つかったので、子宮頸がんの手術も一緒にしました。ただ直腸がんがすごく大きかったので、手術の説明のときに『1回の手術で取れないかもしれない。取れなければ一時的に人工肛門(ストーマ)を造って、あとで放射線と抗がん剤でがんを小さくしてから、また手術します』と言われました。
実際、がんは取れなかったみたいです。主治医の先生が『お腹に手を突っ込んで腸を引っ張り出そうとしたら、癒着がひどくて体のほうが揺れた』と言っていました。
『手術終わりましたよ』と看護師さんに起こされて『今何時ですか』と聞くと『11時』と言われて、8時過ぎに手術室に入って11時なので『人工肛門か・・・。がんは取れなかったんだ・・・』とすごくがっかりしたのを覚えています。」
「1日2回の放射線と、週5日の経口抗がん剤(5-FU)をあわせて4週間やりました。脱毛など抗がん剤の副作用はまったくなかったです。吐き気もそんなになかったですが、3週目ぐらいから体がすごくだるい倦怠感があり、胃が痛くなったんです。『胃が痛い、胃が痛い』と、それがしんどかったですね。
その頃、ストーマ装具にカバーをかけようと思って、近くで布と針と糸を買ってきて作ったのですが、その後1年ぐらい経って元気になって、その布や針や糸を見るとすごく気分が悪くなるので、もう捨ててしまいました。
5月28日に入院して、そのまま8月はじめまで入院していました。通院で放射線治療に来ていらっしゃる方もいたんですけど、私は家が遠かったので、そのまま入院していました。金曜日に放射線治療があり、血液検査をして値がよければ1泊外泊の許可が出てお家に帰れるので、それが楽しみでした。
(家は)田舎から母に来てもらっていました。突然の入院だったので、やっぱり子供たちはたいへんでしたよね。」
「がんということは、私はもう病院にいたので子供たちには言わなかったのですけど、姉が伝えたと言っていました。長女は中学2年生、長男が小学5年生、いちばん下が小学校1年生で、がんと言われても『たいへんだ』というイメージは多分なかったと思うのです。母親が突然入院してしまって、そのたいへんさのほうが大きかったのではないかと思います。
ストーマのことは、外泊で帰ってきたときに説明しました。『がんになって、治療のためにお腹に人工肛門というものを作ったのよ』と実際に見せました。なにか珍しいものを見るような感じで3人が見ていましたね。下の子はまだ幼いから、装具を貼る手伝いをしようとかそういう感じで、すんなり受け入れたんじゃないですかね。
主人にはそんな話は全然しなかったですね。ストーマを造ったというのは知っていると思うのですけど、見せることもなかったし、病気の話もほとんどしなかったです。」