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+ ストーマと向き合う
林 敏孝さん
林 敏孝さん
(はやし・としたか)
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1948年熊本生まれ。2002年血尿があり病院を受診、右腎臓と尿管の間に腫瘍がみつかり、手術で摘出。2005年3月福岡西方沖地震以後、仕事で過労が続き、翌月突然起き上がれなくなり病院へ搬送。膀胱内腫瘍を切除、ストーマ(人工膀胱)を造設。その後、腸ヘルニアで入退院を繰り返すも、現在は病院のボランティアとして患者の相談相手、看護師のストーマケア指導に奔走する。
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1はじめの症状

「いちばん最初の症状は、あるとき朝起きたら血尿が出たのです。『あっ。なんだろう』と思いましたが、痛みも何もなく、ただ血尿なのです。それで近くの病院に行って血液検査をすると、『ある数値が高いから、大きな病院でもう一度検査してください』と大きな病院を紹介されました。それで検査をすると、『右側の腎臓と尿管のつぎ目のところに腫瘍がある』ということで、さあどうするのかということでした。」

●右側の腎臓と尿管を摘出

「先生のほうから、『腫瘍ができている』と言うので、『がんですか?』と聞くと、『いや、がんではない。悪性ではないから。でも転移する可能性はあるよ。それだけがちょっと心配だけれどもね』ということでした。『どうするのですか?』と聞くと、『腎臓と尿管を取る』と。どうやって取るのだろうと思っていると、『腹を切る』と言うので、それはそうだろうなと。そしてそのまま手術室に行ったということです。(手術室から)出てきたら、ずっぷりとこれ(20p)ぐらい(右下腹を横に)切られていました。当時は、(切る長さが)長かったのです。今は内視鏡で切除するのでこれ(10p)ぐらいなのですが。だからぞっくり切られとったです。」

●腫瘍があると告知されたときの気持ち

「若いときはスポーツをしていました。学校時代は、バレーボール、長距離、マラソン、駅伝、野球、とクラブの掛け持ちをしていました。だから何かあっても、そのあとを考えようという考え方しかなかったのです。もう処理をしてもらって先生に任せればいいやと。あとのことを考えよう。だから別にあまり心配したりびっくりすることもなく、『ああ、そうですか』ぐらいのものでした。

悪性のがんだったら、『ああ、やっぱり来たか』というぐらいのものじゃないですか。皆さん『がん』というと落ち込むでしょ?あんなにはないと思います。『ああ、やっちゃったー。今からがんという病気に立ち向かわないといけないのだな』と思います。」

●小さいときの父の言葉

「小さいとき、私は背が低くてチビさんで、前から1番か2番目の場所におりました。当時は“いじめ”というのはあまりなかったのですけど、それに近いようなのはありましたよ。だけど私は小さいときから、(相手に)向かって行って泣いて帰ってくる子でした。帰ってくると父から、『お前、そこ泣くんやったら、もう1回行ってけんかして来い。勝って喜んで帰って来い』と言われた。それが自分の小さいときからずっとあるので、もう『なにくそ』という気持ちがあるんじゃないですか。じゃけん『自分がくじけたらだめだよな』という。それでやはりメンタル(精神面)が強くなってきた。

今の若い人でメンタルが弱いという人は、結構ひとりで、ひきこもりですよね。やはりそれはスポーツをするとか、皆の前でわーっとやったらメンタルが治ると思うのです。だからメンタルって環境じゃないかなと思いますよ。生まれたときは皆一緒だと思います。」