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+ 就労問題と向き合う
石井京子 さん
(いしい・きょうこ)
テスコ・プレミアムサーチ株式会社 代表取締役
公益社団法人 日本オストミー協会 業務執行理事
2000年、大手通信会社の管理職を務めていた当時、知り合いの勧めで受けた検査で初期の直腸がんが見つかる。手術を受け退院後、職場に復帰。自分に残された時間を意識するようになり、退職。1年間の充電期間を経て、障害者の就職支援の仕事と出会い、専門のコンサルティング会社を設立。現在、障害者、難病患者、がん体験者の就職相談を幅広く受けている。著書に『発達障害の人の就活ノート』ほか。Twitterブログ
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◆就労に関するQ&A
3通院と仕事の両立について
Q.通院と仕事の折り合いがつきにくい場合、転職を考えたほうがよいでしょうか?

「とにかく会社を辞めようと思ったら、辞める前に転職の事情を調べたほうがよいと思います。病気で退職しても次によい仕事が見つかるだろうと考えがちですが、実際には現状はものすごく厳しくて、特に40代、50代となると年収も半減してしまうようなことがあります。退職したあとにご相談いただく場合がたいへん多いのですが、辞める前にご相談いただきたいというのが本音のところです。」

Q.通院回数が多く、職場との折り合いがつかない場合は?

「いちばん困っているのが、がん患者さんで、まだ通院回数の多い方だと思います。これはその方の考え方次第だと思うのと、優先順位もあると思います。

通院しながら今までのようなフルタイムの勤務を続けるのはなかなか厳しいと思います。では、しばらく通院がある間、どうするのかというのをご本人が決めれば、あとは比較的見つかりやすいと思うのです。

ですから、体調に合わせて働く方法があってもよいと思います。たとえば週5日のフルタイムではなくて、派遣・パート社員として週3〜4日勤務という働き方もあります。

そうして通院日を確保するという方法もあるので、通院が必要な時期には、働き方を考えるというのもひとつの方法です。

それから、たとえばコールセンターのように、フルタイムの時間でも働けて、あるいは4時間単位の働き方ができる職種もありますので、そういう職種ですと比較的通院の時間が、確保しやすいというのがありますので、いろんな方法を考えていただきたいなと思います。」

Q.相談に来られた方が、会社を辞める前だったら?

「もちろん引き止めます。今ある制度をとにかく最後まで利用して、ダメだったときはそれまでですが、とにかくもう辞めないように。特に家のローン返済がまだ終わっていない方は、もう絶対に辞めてはダメです。」

Q.石井さんは、会社を辞める前にどなたかに相談しましたか?

「私は(相談は)していないです。けれども何とかなるだろうと思いました。これがたとえば扶養家族がいたりしたら、別の問題だと思います。扶養家族がいたらたぶん辞めていないと思います。ご家庭の状況にもよるのですが、十分に考えてから判断していただきたいと思います。」

Q.会社を辞めないほうがよい理由とは?

「辞めても仕事はすぐに見つからないということがわかれば、何とか現状でやっていく道をたぶん皆さん選ぶのではないかと思います。状況は個別に違うと思うので、一概にはお話できないのですが、もしかすると、いろんな方に相談したらいろんなアイデアが出てくるかもしれないので、そういう意味では自分や家族だけで考えず、いろんな分野の専門家に相談してみることも必要ではないかなと思います。」

Q.誰に悩みを相談すればよいでしょうか?

「何を相談したいかにもよると思うのです。就職のことであれば、就職の専門家がよいですし、日常生活のことであれば、それぞれの患者会もたくさんあるので、そこで得られる情報もかなり多いと思います。使える社会的な制度については社会保険労務士さんでよいと思いますし、ハローワークに行かれるのであれば、もちろんそちらでもよいと思います。

あと医療に関してはドクターと、それぞれの分野の方に確認するのがいちばんよいと思います。就労の悩みを担当のドクターに相談する方もたまにいらっしゃるようですが、それは違うと思います。実際の求人状況などはやはり専門家に聞かないとわからないので、いろんな分野の専門家に話を聞くのがよいでしょう。ですから自分だけで考えていないで、少し自分のほうから出向いてみるというのも、大事なことではないかなと思います。」