「(NIRSは)鑑別診断補助ということですので、検査の結果だけで診断をすることはできないんですね。ですけれども、(患者さんと)一緒にデータを見て、『少なくとも脳の働きはこんなふうにちょっと調子が崩れちゃっている。その原因としては、例えば病歴からとか症状からすると、こういった病気が考えられる』とお話しできると、われわれとしても説明しやすいし、患者さんとしても納得しやすいと思うんですね。」
「その点はとっても大事だと思うんですけども、従来はどちらかというと、検査の結果は医師が診て判断するんだということだと思うんですけども、この光トポグラフィー検査については、もちろんわれわれ医師も見ますけども、今度は患者さんにも見ていただくということも大事だと思っているんですね。
例えば、ご自身で病気ではないと思っているけれどもそれがなかなか納得できないという場合に、検査結果を見ていただいて、『脳の働きが少し悪くなっていますよ』と納得いただく。あるいはご本人でも病気だなと思っていらっしゃるんですけども、なかなかそれが実感として分からないといった場合にデータを見ていただく。そうすると『あ、なるほど、そうなんだ。やっぱり今調子が悪いから休まなきゃいけない』と思ったり、そういうこともできると思います。」
「統合失調症の場合もそうですけども、病気はすべて早期診断・早期治療ということが大事なんですね。つまり、症状が重くなってしまってから初めて診断するのではなく、むしろ軽くて、もしかすると病気じゃないかもしれないと思うようなときに、ちゃんと診断をするということ、そして、できるだけ早めに治療することも大事なわけですね。軽い症状のときにも検査を受けていただいて、『これはちょっと病気の可能性があるな』ということであれば、早めに治療をするといったことを考える。そういう使い方が1つ考えられますね。」
「例えばですね、統合失調症については、今の光トポグラフィー検査が、病状によってどうも変化するようだということが分かりつつあるんですね。ですから治療によって病気が良くなったかどうか、あるいは病気があまり良くなっていないかとか、そういったことを患者さんご自身がもちろんお感じになりますけども、データとして脳の働きとして知っていただくと、やはり患者さんご自身が治療に前向きになれるんじゃないかと…。そういうものがなかなかありませんと、例えば薬をちゃんと飲もうとかそういうことを一生懸命やろうという気持ちが湧きにくいかもしれません。それから、例えば生活を規則正しくしようというようなこともやりにくいかもしれませんけども、そういうことによって脳の働きが良くなるということがあれば、ご自身も納得しやすい。検査結果を見ることで患者さんご自身が治療に前向きになれるというか、そんな効果も期待できると思うんですね。」