統合失調症と向き合う

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NPO法人事務局長さん
NPO法人事務局長さん
(ニックネーム)
52歳。19歳(大学1年生)のときに入院。統合失調症と向き合いながら、現在、NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会(通称、ゼンセイネット)事務局長として活動している。会では精神医療ユーザー・アンケートを実施し、その結果を書籍にまとめている。今年も『ユーザー1000人の声と現状シリーズ 2009年度版 誰でもできる精神病の予防とその対策 らくらく統計読本パート2』が6月に発行された。現在、妻、子ども2人の4人暮らし。
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4普段の生活について

「普通すぎてあまり面白くないと思うんですけど。朝起きて、僕、布団たたんでですね、で、子どもが小学校ですので、着替えします、ご飯を一緒に食べてですね、朝ごはんを女房ちゃんとつくりますね。で、今、そんな身ですんで、食事療法のご飯を食べながら、で、(子どもを)送り出しますね。そして(NPO)法人のゼンセイネットの仕事をしております。子どもが帰ってくると子どもとの生活したいんですが、なかなか忙しくて。あの、同じ家の中に住んでいて、子どもの声聞きながら仕事してるのも、ちと、寂しいですけど。で、年のうち半分くらいパソコンの机で、椅子で寝ています。気がつくと寝てるんですよ。入力しながらですよ。そんなんですね。(今年の)6月ぐらいから事務所を借りますので、少しはましになるのかな。」

●経済的なベース

「経済的なベースは、調査事業。NPO法人でいろいろやっていますが、調査事業が経済的なベースですね。昔はね、これはできないと思っていたんですよ、前はですね。みなさん、こういうことをやるときには国の制度を利用されますよね。僕らはなんでできないって言ったかというと、2003年くらいから(調査事業を)始めたんですが、その当時は、僕が統計調査する前には国の、公のいろんな助成金をいただくと、やはり結果誘導の調査になるからできないんだということで、自分たちで寄付を集めたり、本を、単価(が)あるんですが、売りながらお金にしていって、そして次の調査をやるという連続だったんですね。で、講演をやってお金にするとか。

どんな本が売れるか、調査しながら自分たちで統計調査の本をつくるということをしていくうちに、自分たちもスキルアップしなきゃいけないから勉強のために、特別仕立てに、ある大学の先生の統計の連続講座を受けたりして、みんなレベルアップ、スキルアップしていって、そしてつくるものがだんだん高度になってきたんですね。そうなってきたときに、だんだんと収益が上がっていってしまったんですよ。で、結局、僕が専任の従業員なんですよ。そういう意味で(調査事業が)一番のベース、収入ですね。
(障害者手帳を)持っています。(年金は)もらっていないです。」

●訪問看護サービスを利用

「(訪問看護は)月に1回。やはり外の情報を入れるために。ついつい自分が、一般のところの社会ばっかりとか、当事者の統計の社会ばっかりに行っていると、一般的な病者の社会の話が聞こえなくなってしまうんですよ。で、訪問看護をされると「あなたは、はい、患者さんですよ」という扱いをしてくれるから、そうすると、あ、たしかになって自分の立ち位置がよくわかるからですね。
(看護師に)コーヒーを出して、いろいろと最近の新しい制度のきりかえとかのコピーをして渡したり…。いろんなおしゃべりしてもらって、結構、話の聞き役ですかね。

ほんとはね、子育てさんね、ご飯つくりを、減塩食とか食べてますんで、そういうのをつくりに来てくれると、手帳(精神障害者保健福祉手帳)を2人とも持っていますので。(その上で、障害者自立支援法で)ヘルパーさんが来てつくってくれたほうが私は助かるんですけどね。申請っていうか、精神の手帳の場合は、家事援助が、そんなにたくさん使えないです。」

この場合は、障害者自立支援法

*精神障害者保健福祉手帳:2年ごとの更新が必要。更新時期の患者さんの状態に合わせて手帳の等級(1級、2級、3級)が決まる。生活保護の障害者加算や税金の優遇措置など、経済的な支援を受けられるようになるほか、自治体によって異なることがあるが、交通費、通信費などの負担を軽減できる。
*障害者自立支援法:障害者に費用の原則1割負担を求め、障害者の福祉サービスを一元化し、「保護」から「自立」に向けた支援をしようという法律。2005年10月31日に成立し、2006年4月1日から順次施行されている。

●生きがい

「生きがいっていうか、僕は厚生労働省の委員を2003年から1年間、精神病床検討委員(精神病床等に関する検討会メンバー)を(やって)1年間毎月(検討会に)行ってたんですよ。で、(当事者現状をあらわす)統計があまりにもなさ過ぎてその当時から(調査を)始めて、やっとみんなの本当の生の声を1つの本に集約できるっていうのが、すごく1つ最初の生きがいだったんですよね。

で、これをやっているうちに、一緒にやってる連中が生き生きしてくるのが生きがいになったんですよ。で、これ(本)が社会に回っていったり、その地域の患者会に回って地域に売れていって、それからまた声があがってくるっていうのが、またもう1つの生きがいだっていう(ように)、生きがいって、いつもしょっちゅう変わってくるんです、僕の場合。おそらくうちのやってるメンバーみんな同じだと思うんですよ。今の、僕らの一緒に統計調査やってるメンバーたち、うちのゼンセイネットはですね、生きがいというのは、この統計でね、いつか、ずっとやってきましたので、今は統計調査事業というNPO法人の位置づけですけど、当事者による当事者のための調査研究所をやっていくっていう目標を持ってるってことは生きがい。僕らはいつでも目標を持つんです。そのために動いてやってることはみなさんの生きがいだと思います。

私は生きがいって常に変わると思うんですよね。ただ、寂しいながら、今、周囲から与えられたものを生きがいだと思っている方が多いのにはがっかりしましたね。これはちょうど2009年6月に発刊される(本で)「人から望まれる生きがい、自ら望む生きがい」という調査したときに大きな差が出て、私はこれでは本人が自ら望む人生はないと思いました(図1)。」

図1:あなたが望む自己価値を認められることと
周囲が望む自己の価値を認められることの比較

(第4回 精神医療ユーザー調査報告書2009年版、ゼンセイネットより一部抜粋)

<自分が望む事> <他者が望んだ(作った)事>
(30歳代男性)
・自分の責任でした事が認められた時。
(30歳代男性)
・社会的に特に仕事に就き、それなりの実績が上がった時。
(40歳代男性)
・何もかも自分でする事は難しいが、少しの事について何でもいいから、誰の助けも受けずにできる事です。
(40歳代男性)
・一人でも分からない事がなくて、一人でも生活していける事。
(40歳代女性)
・動物の扱いをされない事。
(40歳代女性)
・おとなしくしている事。
(50歳代女性)
・一人前に扱ってもらえた時、病人だから…ではない時。
(50歳代女性)
・病気が少しでもよくなること。病気に負けないで自立して生活できる事。

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