「そのことがわからなくて、調査しました。僕らはやっぱり自分たちでわからなかったら、調査をする、ちゃんと。統計調査をやっている専門ですので。当事者間の調査をしましたら、自立っていうのはまず、就労ではない。みなさんが考えているのとは違いました。自立は治療でもなかった、病気が治ることではなかった。自立って何か、だんだんわかってきたんですね。やっぱり分離することなんですね。要するに依存関係から分離されることが自立の一歩なんです(図2)。
これは、笑われるかもしれないですけど、うちのメンバーの中でこういう話題があるんです。「親亡き調査」をしたあとに、親亡きあと困ることはないって(いう)、調査(結果)が、結構一番多かったんです。自分の身の回りの世話ができるっていうのは、実際親亡きあとの人たちの回答で多かったんですが、そのとき、僕らは何が良いっていったらね、俺らは親が今いなくて良かったな、親がいないから自分たちは自分の決定で、自分の責任でできると。自分の決めたことを自分の責任でできるのは親がいないせいだと。結局そうです、いないから自分で決めて、社会に生きるというのは、一人間として、自分の責任を取っていくことです。それがあるから僕らは一生できて。
頼りないっていうのはあるんですけど、まず、自分の足で立つことだと思うんです。それはお金が、なんていうのか、稼げなくてもいいんです。今年の調査で分離のことも調べてみましたけど、年金だったり、親の小遣いだったり生活保護だったりして、分離している人が多いです(図3)。で実際に収入を統計で取りましたけど、分離している方と家族と生活している方は、1万円ちょっとしか差がないんですよ、収入に。なのにちゃんと世代分離されているんですね。その人たちはかなりね、内容に自分が生きていくということがしっかりしているんですね。
やはり自立っていうふうにいったらまず、自分の責任で生きることだと思うんです。親元だったり誰か施設の元だったりするということは、自分の責任で生きている実感が持てないから、なんとなくこう、自分に返ってくるものが感じられないのではないかっていうのが、ま、一方的かもしれませんけど、私はそんな気がいたします。」
図2:あなたにとって自立(自立の定義)とは何ですか。
N=781(複数回答)
(第4 精神医療ユ回ーザー調査報告書2009年版、ゼンセイネットより)
自立(自立の定義)とは? | 人数 | % |
仕事がある | 344 | 44.0 |
単身生活である(一人暮らし) | 325 | 41.6 |
金銭管理ができる | 261 | 33.4 |
病院や施設から出て地域で暮らすこと | 192 | 24.6 |
家族に金銭的に依存していない | 180 | 23.0 |
失敗したときや、トラブルが起きたとき自己責任を取ること | 177 | 22.7 |
生活の中で自己決定権がある | 160 | 20.5 |
両親と生活分離すること | 134 | 17.2 |
配偶者(同棲者)がいること | 100 | 12.8 |
両親と外出できること | 13 | 1.7 |
その他の定義 | 44 | 5.6 |
「不安ですよ、そりゃー、不安ですよ。例えば事業運営するでしょう、調査やってて、いつ上がるかなとか、原稿出なくて、一緒にやってるメンバーに「ね、いつになったらこれ返ってくる」なんて大きな声出してですね、「出すんなら出せよ」とかやりますよ、ほんとに。
でも、不安は悪いことではないと思うんです。不安だからこそどうにかしようとするわけですよ。不安だから、要するに縮こまるんじゃなくて、不安だから不安を解消するためにこういうことに手をつけ、こういうことに手をつけ、これに手をつける、そしてその先にある目的を(に向かって)突き進むわけですよね。そのために不安は別にあって当たり前のことだし、そのために少しずつ、手がかりやらがついてくると。不安のない人生ありませんし、不安あってこそ進歩する、と私は思っています。」