「1つずつ整理して話したいと思いますけど。まず、福岡の地域で生きるというのと、自分の住んでいる地域で生きるのとはまた違うと思うんですが。あの、福岡というところは、当事者の方が意外と自由にやっていられると思うんですね。
(住んでいる)地域で生きるっていうのはすごく難しいことで。僕が地域で生きるっていうのは、おそらく一般的に作業所に通いながら生きるとか、グループホームの中で生きるとか、ご家族の中で生きているとかっていう問題じゃなくて、地域で生きるっていうのは地域の一員として、一般的な人と同じように生きることを私は地域で生きるというふうに考えています。仲間も一緒にやっているみんなもそうなんですが、後ろ盾いません。例えば、施設の人がなんかあったら解決してくれません。自分で解決していかなきゃいけません。地域で生きていくっていうのは自己責任があって自分で解決能力がある、これが、必要になってきます。最初、「そんな大変なこと」ってみんな言うんです、ところが何回も失敗するんですよ。失敗してお互いに知恵出し合って電話してでもなんでも。でも、そのうち地域で生きていることがわかるようになるんですね、ああ、自分ってこうやって生きているんだと。
たしかに精神病者に対して地域は非常に偏見が強いですし、(社会がもつ)勝手な思い込みもあります。でも 地域で生きるっていうのは、いわゆる病院の中だったり、施設の中だったり、とはまた違って、自分自身がそのまま反映してくるというか、手ごたえがあるというか、自分がよくわかるというか、いろんなものを通さないで自分がダイレクトに生きていく、これがやっぱり地域で生きていくっていう、その苦しさでもあり楽しさでもあると思っています。ただ、田舎に行けば行くほど偏見は強いっていうのは同じで、よくわかることだと思いますが。」