「悪化しないように注意すること? そうですね、今、私が着ているTシャツに書かれているWRAP、W・R・A・P、ウェルネスリカバリーアクションプラン(Wellness Recovery Action plan:元気回復行動プラン)というのを、なるべく生活の中に取り入れて、『調子が悪くなった時にはこういう対処プランをする』という感じで、他の人の良いアイデアとかも取り入れながら、生活の質を高めるように努力をしています。うまくできない時もありますけれども、それでもなるべくお医者さんや薬などに頼らなくても、仲間や自分のいろんな工夫などを使って、元気になるようにやっています。
悪くなったときは、最近は、さらにIPS(Intentional Peer Support:意図的なピアサポート) というものも勉強しています。これは、調子が悪い時でも、『それを餌にしちゃえ』じゃないけれど、それをきっかけにして、クライシス、調子の悪い時をクライシスという言葉を使うんですけども、クライシスの時も、それを自分が変われるチャンスに変えてしまおうというふうな感じで…。例えば今までだと、調子が悪かったら頓服を飲むとかすぐ入院するとか、そういう選択肢を取っていたんですけれども、IPSの勉強をしてからは、そういう頓服とか病院に駆け込むのではなくて、『なぜ自分はそんなに死にたいほど苦しいんだ、入院したいぐらい苦しいんだろうか』と思って、苦しい中でも考え続けることをしていると、乗り越えられたりするんですよね。なので、ものすごく調子が悪くなっても、最近は、困らないです。むしろ『きたきた、いいチャンスが巡ってきたぞ』みたいな感じになってきて、それでここ4か月ぐらい入院していないんですよ。
(IPSについては)WRAPの仲間から聞きました。そちらのほうから、勉強会があるとかそういうデータが、メーリングリストなどで回ってきて…。そういう集まりなどに行くと、飲み会などでIPS良いよとか、そういう話になって、そんなに良いものだったら私も受けてみようとか、情報が回ってきたときに飛びついて行ったり…。」
「これがインテンショナルピアサポートIPSというパンフレットです。この中はすごく難しいけれども、ほんとに人間の関係性の大切なこと、人間の関係のつながりとか世界観だとかが書いてある。難しかったけれども、今まで勉強した学問の中でこのIPSが一番役に立ちました。
今着ているTシャツのこのWRAP、これがテキストの赤本なんですけれども、これは『こころの元気+(プラス)』の雑誌のほうでも売っています。これは原訳の本ですけれども、自分の生活の質を変えたりとか、他の人とグループでWRAPを作ったりとか、これで人とつながることができます。日本中でWRAPのファシリテーターが120人ぐらいいて、各地でいろんなワークショップや講演会などを行っているので、近くに講演会とかがあったら、ぜひ足を運んでみてください。」