統合失調症と向き合う

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津田敏正さん
津田敏正さん
(つだ としまさ)
1979年生まれ、33歳(収録時)。23歳のときに発症し精神科を受診。子どもの頃から建築・不動産業に関心があり、29歳で宅建(宅地建物取引業者)の資格を取得。現在は、特例子会社で働いている。1人暮らし。障害者手帳3級。
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4退職したあと
Q.2度目の仕事を辞めたあとはどうされましたか

「1〜2か月ぐらいでしたけど、地活(地域活動支援センター)のほうには行っていて、その時たまたま月に1度ぐらい、就労支援センターの方が相談員として来ていたんですよ、地活に。で、自分の状況を話したら、『こういう作業所があるんだけど』という話になって。自宅から割合近かったので、じゃ、まず体験しに行ってみようという形で、2005年の2月から通い始めました。」

Q.作業所の印象はいかがでしたか

「そうですね、僕自身、当時も結構、2004年の暮れから始めるのがほんとうに辛くて、どうしていたのかよく憶えていない部分もあるんですけど、なんか、居心地が良かったんですよ、そこは。

親(からは)、他にもいろんな作業所があるから見てみればと言われたんですけど、1箇所見てそこで決めないで。でも、『あ、ここ、なんか居心地がいいから、ここでしばらくというか、なんかずっといるんじゃないかな』と。結構、周りに40代・50代・60代ぐらいの人もいましたし、自分もなんかずっとここで、細々と作業してやっていくんだろうなと思いました。その時は。」

Q.作業所へ行くことで病気の認識に変化はありましたか

「そうですね、地活に行っていた時は、なんて言うか専門学校とか、そういうところもあったので、まだ、『自分は病気じゃないぞ』というふうに思っていた部分がありましたが、『やっぱり自分はもう病気なんだと認めなければ』と思いましたね。

それはもともと自分が小さい時から運動がまずできなくて…。かといって、勉強が特別できたわけでもなく、周りからは結構体育の時間とか、図画工作とか家庭科とか、そういうことで、みんなに迷惑をかけているというふうにすごく、そんなにすごくいじめられたというわけではないのですけど、自分のほうから引いてしまった。やっぱり、自分が迷惑をかけているというふうに思っていたので、そこの時点でもう“うつ症状”がありましたね。

で、女の子から結構きつく言われたので、『女の子なんてもう嫌だ』と思って、それがある意味原動力で、中学受験をして男子校に入り…。かといって、ま、中高ぐらいの男の子はやっぱり血気盛んな感じだったので、やっぱりそこでもやっていけなかった。で、大学に入って共学で女の子もいたけれども、まあ、少しは人間関係を作らなければいけないとか(思って)、クラブに入ったけれどやっぱり人とはうまく付き合えなくて、ずっと喫茶店に入り浸ったり、図書館で1人で本を読んでいたり、そういう生活でした。あと大学では学生相談室みたいなところがあったのでそこに入り浸って…みたいなところもありました。

小さい時から“うつ”。でもそれは『自分の責任、自分が悪いから』との思いがあって、病気じゃない。精神障害って、当時は結構まだ精神分裂病みたいな話で、なんか恐ろしいみたいな感じもあったし、ちょっと違うよねと思っていた。子どもでしたからね。だから『絶対自分は(病気とは)違う、自分が悪い自分が悪い』とずっと責めていました。」

Q.作業所ではどのように過ごしたのでしょうか

「今まではやりたいことを結構中途半端に終わらせていた部分があったのですが、ちょうどその時に、うちの作業所はお菓子の配達、今は職員がやるのですが、当時はメンバーさんがやっていたんです。で、僕、一応(運転)免許を持っていて、マイカーも親にせがんで買ってもらっていて。当時、ちょうど僕が入って1か月ぐらいの時に、配達をしていた方が(他に)就職されるというので、そこのポストが空いて、で、『誰か、配達する人いませんか』と声がかかって。で、僕が、誰も(手を)挙げなかったので、『じゃあ、やってみます』と…。なんかもう、今思えば、すごい怖いもの知らずだ(と)。

僕、ほんとうは車の運転とか不得意なんです。でも、何で思ったのかがよく分からないのですが、『やります』と言って。作業所とかにいろいろお菓子を配達に行くのですけれども、道を覚えなきゃと、ナビなど付いていないですから事前に聞いて、休日に自分のマイカーで地図を見ながら場所を確認して、だいたい道を覚えて、配達に行ったりしていました。」

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