「(僕が)グループホームに入りたいと言った時に、先生は、グループホームの審査もしている先生で、『津田さんはグループホームより、アパートとかのほうがいいわよ』と言われたことが、役に立ったといえば役に立ったのかもしれませんけれど。」
「いやあ、やっぱり心配かけないようにはなるべくしたい。だって、ハラハラさせ通しでしたからね、ある意味、生まれてから(ずっと)、たぶん。」
「特にないのかな。なんか自然体でいけているんですよ、ほんとう。あまり気をつけなくても。一般企業の時は、いろいろほんと、あれ(たいへん)でしたけど、でも人事という仕事柄なんでしょうかね、分かってくれる人が多かったような気がします。」
「まったくありません、僕は。感じなかったのかな。(自分の中での差別的考え?)それはないですね。障害というよりは、例えば、道行く人などでも、この人は、結構こういう人生かなと思ったりとか…、人間そのもので見る。僕も結構、障害者と見られたくて障害者になった節もありますけどね。
もともと、学生時代、その辺の自分が何もできなかったりそういうふうに思っていた時は、『あなたは普通だから』というのがすごく辛かったんですよ。だから、さっきもちょっと言いました、レッテルを貼ってもらってからのほうが自由に動けるようになった、逆に。レッテルを貼られるとやっぱり動けなくなるという人も多いのかもしれません。僕は逆でしたね。『あ、これでなんか自由になれる』と思えたような気がします、今思うと。」
「だから告知されて、『あ、やっぱり』と腹が据わったというか。だからいろんな、さっきの施設長もいろんな、ある意味、背伸びしなければいけないことに対しても、特に自分から、何かやらしてくださいと言ったのは車の運転ぐらいですけど、それ以外は『やってくれない? やってくれない?(と言われ)』、ならやります、やりますと…。万が一のことがあったら、ま、職員の人が尻拭いしてくれるかなみたいなところ、甘い考えもあったりして…。
だから、その時からのほうがいろいろ辛いことがありましたけど、楽でしたね。だから、僕、学生時代に絶対戻りたくないです。昔はほんとうに思っていましたよ、そういうタイムスリップ的な…。今はもう全然思わなくなって、それをかえって知ったら悪い方向に向かうなと思うぐらい。無心に、分からなくて必死にやるから得られたこと。これやったらこうなるなと思ってやったら絶対いい方向に行かない。なんかほんとう、ああいう震災が起きて、明日死ぬかもしれないという思いを持っているから、今、やろうと思う時にやらないと…。」