統合失調症と向き合う

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A.T.さん
M.H.さん
1968年生まれ、44歳(収録時)。一人暮らしをしているが、支え合うパートナーがいる。大学卒業後、就職したが、23歳の時に誇大妄想が始まり、入院治療を受ける。就職して2年後に退職し、大学院(修士課程)に通う。その後、治療に専念するため就労したりしなかったりとなり、現在は2つの作業所に通いながら、ときに親の世話をするなどで日々の生活を送っている。パートナーの存在や、はんこを作る、小説を書く、絵を描くといった日々の暮らしの中で行っている事柄が支えになっているという。
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8医療者とのコミュニケーション
Q.医療者とのコミュニケーションで役立ったことは?

「たくさんありますね。主治医では、『人生、あなた次第』という言葉ですね。 どんなふうに生きようといいんだが、と。その人生を生きるのはあなたであって、あなた次第なんだよということ(を)、2人目の主治医が言いましてね。よく考えてみたら、ま、そうだなと…。

それと看護師の方ですごく印象的な方が2人ほどいらっしゃるんです。どちらも男の方なのですが。特に何かをされるのではないんですよ、2人とも。かといって聞いていないかと言ったら、ちゃんと話は聞いていて…。

そのうちの一人の方が、ある時に、私、入院中暇だったので小説を書いていたんですよ、ひたすら。まあ、暴れたりもしていたんですが。暴れて、よく揉め事になっていたのですけれど。その合間とか、穏やかな時に小説を書き散らしていたのです。

(看護師が)『小説、何書いているの?』という。原稿も、当時まだワープロとかも持ち込み禁止だったので、原稿用紙に書いていたのですが、それを見せると、だいぶ読んだあとに、『小説家になりたいのかね』と言われて、『うーん、なりたいかなりたくないかと言えば、小説を書きたいなあ』とか言ったら、小説家かどうかというのは、発表数の多さじゃないからねと。『寡作(かさく)の作家って知っているかね』とか言うんですよ。発表作が少ない作家のことですかと言って(たら)、まあ、そういう作家もいるんだよと。それでいいじゃないかと言われて。『やるんだったらね、ただ大変だよ』と言われましたけれど。

人間て、なんて言うんですかね、時間的な長さとか、時間の量とか体験の量じゃなくて、体験した質とか、体験したものの密度の濃さとかじゃないかなと思ったんですよ。その看護師さん、実は、ものすごく密度の濃い人だったんじゃないかなと思うのです。だから、『やりたいようにやりゃあいいんだ』と思いましたね。

もう一人は、すごく穏やかなのですが、精神科の看護師というのは、男性が多いんです。『こらあかん』と思いましたね。」

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