「差別や偏見というのは、私にすらありますから。そういう感覚というのは。私自身にすらありますよ、それは。あるもんです。あるほうが普通です。それを無しにしようではなくて、あるということを前提にして、それをどうするかということを考えることのほうが数段重要かと思います。」
「(どうするか?)うーん、難しいですね。どうしても、なんて言うんですかね、精神病の急性期の状態とか手がつけられない場合は、やっぱりどうしようもないですから。それを、『まあ、こんな人もおるんや』という程度に済ます、周りへの説得というのも大事かと思いますけど、本人にも、『そんなことばかりでもやっぱりまずいんじゃないか』という説得も必要だと思いますよね。
病気だからって人生終わらないよと…。むしろ、若い頃に病気にかかったら、病気を抱えながらの人生のほうが長いんだよと、(そう)思いますね。だいたい統合失調症は若い頃に発症しますからね。」
「ありましたよ。4つ目の病院に入院する前の時ですから28歳から29歳ぐらいの1年弱。
ほとんど用事がなければ外に出ない。(薬も)飲まなかった。まあ、家庭内暴力ですよね、明らかに。そういうことになってしまうんですよね。だから、そういう経験があるので、(今)親を大事にしようと思っているんですよ。」
「不本意な思いをして、なんか晴らされない心の澱(おり)みたいなものがどんどん溜まりますよね、時が経って。そして、40年いると、その積み上げてきたキャリアだとか、経験だとか、人間関係とかで、ものすごく、なんて言うんですかね、社会の中枢の中に座っていってる人間達も見ますでしょ?当然。それを見ると、20いくらの時に病気になって、その結果、そういう方面への積みあがるブロックというのは、たぶん私は積めていないなと。たぶん、その方向性は、もう、今後の人生(で)捨ててかからなあかんのやなかろうかと、そう思いますね。もともとなかったところからやらなあかんのやろかとか。
(私)真っさらになったので、ある体験をもとに。…死にかけたんです。再々入院から退院してしばらくしてからですが。パートナーに助けられたんですが、胃潰瘍で血を吐きまして、死にかけたんです。
胃潰瘍は見事に治ったんです。みなさん『ストレス(が原因)だ』と言いますけど、違うんです。ピロリ菌だったんです。あほらしくなりましてね。『(ストレスと)違げえやん』とか思いました。
ストレスじゃなくて良かったと思いましてね。まっさらになったので、これから2本の足で、パートナーと一緒に生きていこうと思います。始まったばっかりです。もういっぺん生まれたようなものです。
ちょうど良かったかなと、逆に。いろいろ、グチグチグチグチ、グチグチグチグチ考えていたことがあほらしくなってきましてね。これはもうどうしようもないなと、意味ないと思いました。それが東日本大震災の年ですから2年前ですよね。」