統合失調症と向き合う

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aopon2008さん
aopon2008さん
1987年生まれの27歳(収録時)。19歳の大学浪人中に体調を崩すが受診することなく、大学に入学する。大学2年生時に妄想などの症状が激しくなり、精神科を受診する。入院経験は無い。大学を中退。現在は、病院デイケアの就労サポートにより企業にアルバイトとして就職し、2014年8月から正社員として勤務している。起業家を目指している。大学の精神医学の授業で講演を行った経験を持つ。最近は友人のアドバイスでおしゃれに気遣うことになった。一人暮らし。
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10減薬について
Q.減薬をご自身で試みた時のことを教えてください

「薬をちゃんと飲むことも大切なのですが、最初、特に病気の陽性症状が激しい時に、大量の薬を処方されるということも、そういう人も中にはいらっしゃるかと思うのですが、僕の飲んでいるエビリファイという薬も、やはり大量に飲むと肝臓とかにあまり良くなくて、やはりずっと大量には飲めないと思うのです。体のほうが先にダメになってしまうといいますか、そう思うので、減薬というのは必要だと思っています。

減薬をする際にもいくつか工夫をしてきました。減薬は調子が安定している時に少しずつ行うことがやっぱりコツなのですけれども。やはりどうしても薬の量が変わる時には自分の体と心に変化がありました。具体的に言うと、不安な気持ちになったりとか、夜眠りにくくなったりするということが私はありました。

その時に、いろいろな対処を、その時々によってしてきたのですが。減薬自体は、7回ぐらい、7段階ぐらいで減らしていったのですが、そのうちの3回で大きな変化が体や心にありました。

1回目に変化があったのは、エビリファイ以外にアキネトンワイパックスという薬を飲んでいた時のことです。アキネトンという薬は、あっさりやめられたのですが、ワイパックスが、ちょっと依存性があるのか、やめるのに一度失敗しています。

その時は心の準備ができていなかったからではないかということもあるのですが、不安感に襲われたといいますか…。なので、今度は心をずっと安心させる状態に、自分で努力しておこうと思いまして、中村天風(てんぷう)さん(思想家)という方の本を読んだのです。そこに瞑想法(めいそうほう)があって、その瞑想法をやったら安心するということを見つけたのです。」

エビリファイ(アリピプラゾール):非定型抗精神病薬
アキネトン(ビペリデン塩酸塩):抗パーキンソン病薬
ワイパックス(ロラゼパム):抗不安薬

Q.瞑想法とは?

「瞑想法を具体的に説明すると、一番リラックスできる状態で、床や布団などに横になります。そして、ゆっくりと落ち着いた呼吸をするのですが、鼻で呼吸しても口で呼吸してもよくて、自分のやりやすいほうで大丈夫です。

呼吸をする時に、息をまず吸う時には、宇宙のすべての良きものが体の中に流れるということをイメージしながら息を吸います。そして吐く時には、体の中のすべての悪いものが外へ出て行くと思いながら息をゆっくりと吐き出します。これをずっと繰り返す、ただこれだけなのですが、これをしていたら心が非常に落ち着くことを発見しましたので、ワイパックスを抜いて、夜寝る前などにやってみたら、最初少しだけ不安感を感じたのですが、この瞑想法を繰り返しているうちに心が落ち着いて、うまくワイパックスをやめることができました。」

Q.睡眠についてはいかがですか

「精神薬に関しては、エビリファイとアキネトンとワイパックスだけだったのですが、睡眠薬を飲んでいまして、ワイパックスをやめたあとに、睡眠薬を飲むのをやめようとした時に、眠れなくなるということがやはりありました。

夜、眠れない時に関しても、天風さんの本に書いてあったのですが、いちばん使えたなあと思ったのは『眠れぬならば眠らぬまでと思う』。要するに、眠ろうとするから眠れないのだよということで、眠れないのなら眠れなくてもいいじゃないかみたいに、案外気にしないでいるとうまく眠れるという話ですね。『眠れぬならば眠らぬまで』という言葉が、楽観的な気持ちになるということもあり、結構使えました。」

Q.2回目の減薬による変化について教えてください

「2回目の減薬(による変化)は、エビリファイを18mgから15mg、またちょっと飛ぶのですが6mgと、2週間ずつぐらいで減らした時がありました。その時になぜ減らしたのかというと、A病院は総合病院なのですが、そこで肝臓の検査もエコーを撮ったりしたのです。そうしたところ、『結構な脂肪肝だよ』ということを言われました。

その当時、当時というか今でも、そんなに太っていないですし、運動といいますか、食事とかそういうことにも多少気をつけていたのに、脂肪肝と言われるのはやっぱり薬の影響しか考えられないなということもあって…。実際、肝臓にあまり良くないと言われている薬でもあるので、これは薬をちょっと減らそうと思って、減薬することにしました。で、お医者さんにはあとから報告することにしました。この時も不安感はあったのですが、天風さんの教えで乗り切ることができました。」

Q.3回目の減薬による変化について教えてください

「最後に、6mgから3mgを経て、お医者さんの承認も得つつ、薬を飲まなくなることがあったのです。この時にもいろいろ試して1週間ぐらいは飲まないで平気な時もあったのですが、やはり薬を飲まない状態だと、統合失調症というのは心のバリアがなくなったような状態になってしまって、周囲のすべてのことが、細かいことまで感じ取れるような状態になってしまうのです。

そうなると、一緒にいて安心できる人ばかりであれば大丈夫なのですが、ちょっと自分に対して冷たいなというような態度を、普通にしていればまったく気にならない程度のことでもすごく敏感に感じ取ってしまって、それが心の負担となったので、やっぱり薬は飲まないといけないなあと思って、また薬を飲みはじめることにしました。

なので、やはり現代の医学ではまだまだ統合失調症は薬をまったく飲まないでいい、完治ということはない病気なのかなと思うので、薬を手放すのはまだ当分難しそうだと思っています。」

Q.現在の服薬量は?

「今は、日によって、3mgぐらい違うのですが、6mgから9mgぐらいで安定しています。

本当はお医者さんの言う通りにしたほうがいいと思います。でも、やはりちょっと肝臓が気になったということと、今まで18mg飲んでいたのですが、結構自分でも眠気がすごかったですし…。なので、今は9mgか6mgですけど、それになってから眠気もずいぶんマシになったので、やはり多かったのではないかなと、ちょっと思っています。

9mgで、『ちょっと大丈夫かな』と思う時もあるのですが…、それは、次の診察で(先生に)報告します。」

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