統合失調症と向き合う

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澤田優美子さん
澤田優美子さん
(さわだ ゆみこ)
1964年生まれの51歳(収録時)。高校入学直後の15歳の時にうつ症状を呈する。キリスト教を信仰するようになる。21歳の時に神経科を受診する。現在は、精神科に8週間に1回、睡眠障害外来に4週間に1回通院。大学院でピアサポートグループの研究をしながら、統合失調症などで成年後見制度をご利用の方の支援をするアルバイトを行っている。
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3治療について
Q.これまでに受けた治療法を教えてください

「薬物療法と精神療法です。(精神療法は)普通のやりとりです。普通の診察ですね。

初めて薬を飲んだ時はよく効いて、元気になりましたので、『もう治った』と思って、クリニックに行かなくなって、そしたらすぐに再発しました。それからは、(薬を)飲んでもあまり良くならなかったのですけれども、31歳の時に、病院に行くのをやめてしまって薬を飲まなくなったら、急激に悪化して、妄想・幻覚が出てきて、入院になりました。

入院して投薬されたら、幻覚・妄想が消えて……。それからは、疲れて眠いので、家で寝てばかりという生活で、(状況は)変わらなかったのですけれども。そうですね、最初に飲んだ時と、治療中断のあとに投薬された時は、劇的に効きましたね。薬を投与されたら、夢から覚めたみたいに幻覚・妄想がなくなりました。

(入院期間は)4か月です。いきなり押さえつけられて、連れ出されて、保護室に入れられて、拘束されて、点滴されておむつされて、カテーテルをつけられてと、そういう状態でした。(保護室にいたのは)分からないのです、何日間か。徐々に徐々に外に出されて、少しずつですけど、ホールに行っている時間が長くなって、6人部屋に移って……。閉鎖(病棟)です。

途中で任意入院に切り替わったのですけど、開放病棟に移してくれませんでした。(開放病棟には)どういうわけか移してくれなくて、2回目の入院は任意入院だったのですけど、また閉鎖病棟に入れられてしまいました。」

任意入院:精神障害者本人に入院の必要性を説明し、同意を得る入院形態。同意が得られない場合に限り、家族などの同意による「医療保護入院」を検討する。

Q.入院の経験は?

「2回しました。

クリニックの待合室で知っている人に会うのが辛くなって行かれなくなってしまったのです。それで同じ病の友達から、病院行かなきゃだめだよって言われて、彼女の病院を紹介されて、同じ病院へ行くようになったのです。

大学病院でしたのでいろんな検査を受けまして、その結果『うつ病です』と言われたのですけれども、2〜3年して、『あなたはただのうつ病じゃありませんね』と言われて、『検査をやり直します』と言われて、それで、先生を信頼できなくなってしまって、行かなくなってしまったのです。

先生がとても疲れていらっしゃる感じで、どちらが患者だか分からないような感じでした。それで、診断も、『今頃何を言ってるの!』という感じもしましたし…。で、検査がやり直しになったのですけど、その検査の方法が私に合っていなくて、心理士さんが戸惑っておられて、『何やってるのよ!』というふうにも思いました。

それに、診察の場面でも、私としては普通の話をしているつもりなのですけど、とても怪訝そうなお顔をされて、それで『あなたはただのうつ病じゃありませんね』と言われたので、こんな言葉を遣ってはいけないのですけど、キチガイ扱いされたという気がして……。そんなことが重なって『私はまともよ、病院なんかに行く必要ないわ』と思って、行かなくなってしまったのです。」

Q.病院に行かなくなったあとの病状は?

「幻覚・妄想がうわぁっと出てきて、夢幻状態というのですかね、夢を見ているみたいになってしまったのです。ずっとではないと思うのですけど、時々おかしなことをして、両親を困らせたり、近所に迷惑をかけたりしました。

よく憶えていないのですけど、『お母さん、私どうなっちゃうの?』と言って、母が『病院へ行こう』と言って、(私が)『うん』と言って、連れて行ってもらいました。そしたら即入院(1回目)になったのです。」

Q.入院中、心に残ったエピソードはありますか

「そうですね。仲間との語らいが楽しかったですね。いろんなことをおしゃべりして、笑って……。楽しかったです。」

Q.退院する時のエピソードを教えてください

「1回目(の入院)は4か月、それも長かったと思うのですけれども、2回目は、『ちょっと最近うつっぽくなった』と言っただけで入院させられました。で、7か月退院させてくれなくて……。

それも、とにかく眠いのですね。でも『昼寝をしたら日曜日の外出許可はなし』と言われて。でもどうしても眠くて寝てしまうと、懲罰的に外出許可なしになって、何か取引のようなことをさせられて。治療と言えるのかどうかよく分からないのですけども、そういう状態で7か月。いつになったら退院できるのか、全然分からなくてちっとも良くならなくて……。

ところがある日、突然見切りをつけられたかのように退院ということになったのです。(症状は)変わっていないのです。やっぱり眠くて、昼寝してしまうのですけど、急に退院になりました。まあ、うれしかったと言いますか、やっと退院できると思ったのですけど、でも、『良くなっていないのになんで?』という気持ちはありましたね。」

Q.治療で辛かったことはありますか

「副作用と、薬が効いていないような感じですかね。(副作用は)アカシジアがいちばん辛かったです。(それは)32歳だと思います。入院中です。

(対応は)副作用止めが出たりとか、薬を変えたりとかだったと思います。まあ、『効いているのか効いていないのか分からないというのは、合っているということですよ』と誰かに言われたのですけど。(今は)副作用も特に感じないわけですから。」

アカシジア:抗精神病薬の副作用である錐体外路症状の一つで四肢にむずむずするような異常知覚を感じて、そわそわしてじっとしていられない状態になったり焦燥感が出てくることもある。
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