「そのような経験ばかりですね。説明は少ないですし。お医者さんはもう『忙しいオーラ』を出していらっしゃいますし……。
例えば長時間睡眠のことにしても、お医者さんは、(私が)トイレとか食事には起きていると思い込んでいらっしゃったのですね。それで、ずいぶん経ってから、トイレにも行かず、食事も摂らず水分も摂らずに昏昏と眠っているということが分かって、びっくりして慌てて睡眠外来につなげたというようなこともありました。まあ、患者の話をよく聞かずに思い込んでいるということが多いような気がします。」
「前の主治医なのですけども、その頃、私は人のいいなりで、『何々してもよろしいですか?』と、いちいちお医者さんにお伺いを立てていたのですね。そうすると、決まって『決めるのはご本人です』とおっしゃって。いつもそう言われていたので、自分のことは自分で決めるようになって、そこから、自主性とか主体性とかを取り戻して……。今日あるのはその先生のお陰です。」
「たまに母が知恵のあるアドバイスとかしてくれることがありますね。
昔のことなのですけれども、まだ20代の頃ですかね。母が弟と電話をしていて、『お姉ちゃんが起きない』と(母が)言ったら、弟が『俺、分かるよ。俺の会社にもいるもん。真面目で頭のいい人だけど、時々ぽかっと休むんだ。部長は休むなら電話しろと言うんだけど、電話をしないのではなくて、電話できないんだよ』と言ってくれたという。それがうれしかったです。母から聞いて。」
「父はキレやすいので怒らせないようにすること。母も怒りっぽいので怒らせないようにすること。あと、父と母がけんかしていても私には関係ないと割り切ること。なるべく親を立てることです。」
「そうですね、うれしかったこととしては、私の声とか話し方に癒やされる、話の内容もですけど癒やされると、複数の友達から言われました。それから昔から知っている友達には『変わった』と言われたり……。若い頃はマシンガントークだったと(笑)。今は、なんて言うのかな、落ち着いているというのか。
病院に行かなくなって、薬を飲まなくなって悪化して、それからなのですね。思考抑制と言うのですかね、頭が高速回転しなくなってしまって。前は、思ったと同時に口から出ていたのですけど、この頃はあまり話すことも思い浮かばなくて。何か浮かんでも、『言わなくていいや』と思うようになって。
沈黙は金なりと言いますか。若い頃とか子どもの頃はすごいおしゃべりで、そういうのが恥ずかしい、嫌だと思っていたのですね。静かな人に憧れて、自分も静かになりたいと思っていましたので、『いいや、言わなくて』と思うのです。」
「遅刻して、朝礼の列の一番後ろに立っていて、背が低かったので、『校長先生の顔を見なさい』と言われた時に見えなくて、見えるところまでぱーっと走って行ったり、授業参観の時に当てられて、恥ずかしかったのか、『澤田さんは今日お休みです』と言って机の下に隠れたり。それから、一年生に入学してすぐ、机に貼ってあった名前を書いた紙を剥がしてしまったり……。
自分では普通にしていたつもりでしたので、憶えていないのですけど、まあそんなことがあったそうです。」