「いちばん初めの症状は、26歳で、当時、夜、全然眠れなくなってしまったのですね。その時は、全国チェーンの靴屋の店長をしていました。
そのうち、なんでしょう、人から悪く言われているのではないかとか、なんか人の目が気になったり、人の話が気になるような症状がだんだん出てくるようになりましたね。
(その症状は)強くはなかったというか、そもそもそれが症状であるとか、それが病気のものなのかとかそういう認識が全然なくて。ただ単に『自分の思い込みとか、そういう類いのもんだ』ぐらいにしか思っていなかったのですね。
とにかく眠れないのがすごく辛かったので、最初は睡眠薬があれば眠れるかなぁと思ったのです。で、取りあえず近所の薬局に行ってみたのです、『睡眠薬ありますかぁ』みたいな感じで。そしたら、睡眠薬というのは、精神科とか心療内科にかからないと出せないお薬だから、薬局ではありませんよと言われて。そこで、精神科というか心療内科の町のクリニックに初めてかかりました。
その薬局で教えてもらいました。『この近所にそういうクリニックとか病院ってあるんですか』と聞いたのです。そしたら『ちょうど近くにこういう病院がありますよ』というふうに教えていただけたのです。」
「『ちょっと疲れているようですねぇ』みたいな話だったと思います。睡眠薬を処方していただきましたね。あとは、抗不安薬を何種類か出されたような気がします。
(薬を)ちゃんとは飲めていなかったですね。なにしろ自分がそういう病気からくるものだという意識が全くなかったものですから。で、薬を飲んだら飲んだで、症状は多少治まるし、夜は眠れるのですけど、ただ、体がだるくなったりしたので、仕事に支障が出てしまったのですね。なので、きちんと飲めていなかったりしていましたね。
それなので、どんどんどんどん症状は悪くなっていったと思います。それで、たぶん仕事のストレスもその時、相当あったと思うのですよ。結構、上司のプレッシャーもきつかったですし、休みも満足に取れないような状況だったので。そんな感じで服薬がきちんとできていなかったので、結構、毎日のように浴びるようにお酒を飲んでしまったり、必要のない物までやたら散財ですか、買物してしまったり、その当時リストカットもしたり……。
あとは、処方薬をきちんと飲まないで、ちょっと乱用みたいな感じで、きちんと服薬していなかったり……。今から考えれば、結構、めちゃくちゃな生活をしていたなぁと思いますね。とにかく楽になりたいなというか、こんな辛さが、なんとか解消できないかなぁと思って、お酒とか、今言ったような感じでやっていましたね。
結局、会社(靴屋)は倒産するのですよ。その当時もう会社の経営状態が非常に悪くて、会社の経営状態が悪くなるにつれて自分の症状もどんどんどんどん悪くなっていったのですね。だけど、やはり何度も言うように、自分はそれが病気でくるものであるという意識がなかったし、そういう病気があるということも知らなかったので、『自分の気の持ちようだぁ』とかそんなふうに思っていました。
会社が倒産して失業したのですね。で、まあまあ、前職の経験があったので、それを見てくれて、最初の会社は、割とすんなり決まったのですね。ただ、その当時はたぶん相当症状が悪かったのですよね。やはり、夜眠れないということが相変わらずあって。あとは人の目とか言動がすごい気になってしまって。通院は、したりしなかったりです。だから定期的には通っていなかったです。やはり病識がなかったのでしょうね、自分自身に。
そんな感じで次に就職をするのですけど、やはり状態がすごく悪かったのですね。周りからすごい自分のことを『ダメ人間じゃないか』と言っているのではないかとか、人の視線が気になったり……、ほんと人が怖かったのですよ。
そのような状況だったのです。それでも仕事は行かなければいけないという意識があったのですけど、ある日、そんな辛い中仕事は行っていたのですけど、もう、耐えられなくなって、この状況を逃げ出すには、もう死ぬしかないなと思って、そんな状態で薬をきちんと飲んでいなかったものだから、大量に持っていたのですね。300錠近くあったのかな、それを全部飲んで、倒れているところを、うちの祖母に発見されて、救急搬送されて、ICU(集中治療室)に運ばれました。大学病院ですね。その時は実家にいましたね。」