「いや、スムーズではなかったです。僕、自分の病気の経験があるから、『それって支援に活かせるよね』と自分では勝手に思っていたのですけど、やはりいざ勉強してみるとなると、たぶん当時も症状が残っていたのでしょうね、テキストとか全然読めなかったし。
いちばん辛かったのが実習ですよね。実習先で同じ当事者の方々に支援者として入っていくじゃないですか。だけど、当事者の方を見ていると『自分より全然元気じゃん』とか思って。そこでもちょっとしたエピソードがあるのですけど。実習先のご利用者さんに、まだ、当時自立支援法になる前だったので、あそこは法的に言うとどういう施設なのかな、住み込みで就労の訓練をするような施設でしたね。
就労というか実習で行ったのです。そこは、温泉旅館なのですよ、施設が。そこで訓練して就労しようねという、当事者が運営して、働くというコンセプトの事業所だったのですね。そこで働くためにみんな訓練しているわけですよ、ホテルの清掃作業とか、フロントの作業とか。そこで実習していて、そういう姿を見て、なんか、すごく『自分のほうが全然ダメじゃん』とか思ったり。あと、やはりレポートが全然書けなかったりして。それで途中調子を崩して入院し、その期間もやはり入院していましたよね、勉強している間も。
通信課程が2年だったので、2007年に入学して、2009年に合格して、資格を取りました。合格した時は嬉しかったですね。でも、そのあとやはり壁にぶつかりましたけれどもね。」
「資格を活かした仕事に就きたいなぁと思っていたのです。それで、資格を活かす上で、自分の当事者性というのもその時に使いたいなぁと思っていたのです。なので、ハローワークに行って、精神保健福祉士の求人を全部見たのですよ。で、『これに応募したいのですけど』みたいに言うじゃないですか、ハローワークって。で、実は僕は統合失調症でもあるので、障害者雇用とか障害者雇用ではない云々に、統合失調症だけど精神保健福祉士ですということが結構自分の売りになるかなと思って、そういう売り込み方をして、結構、応募していたのですね。
だけど、ことごとく、精神疾患があるというと、どこも受け付けてくれない、そんな状況でしたね、当時は。履歴書すら受け付けてくれないような感じで。ハローワークの職員さん自体も、やはり、『んんー』という顔をするのですよ。だけど一応つないではくれるのですね、電話連絡をして『こういう方が来てるんですけど』と。だけど、面接すら受けさせてもらえないような状況でしたね。それが続いたのです。
でも、やはり精神保健福祉士として仕事はしたいなというの(思い)はあったので、途中からは、じゃあ自分の病気を隠して就職活動しますと言って、就職活動をして。で、つい、この4月に転職したのですけれども、その前の事業所に採用されて。で、勤務したのは8年ですね。(その時は病気を)もう完全に隠して。」
「支障はありましたよ。利用者さんは僕が病気を持っていることは知らないわけですから、PSW(精神保健福祉士)の瀬戸さんという感じで、『ちょっとこういうことに困ってるんですけど』と相談されるわけですよ。ただ、その利用者さんの訴えることは、自分自身も経験があったりして、なんかそれに引っ張られてしまったり……。
あと、『うん、分かる分かる』と言いたいのだけど、支援者の立場でなければいけないと思っていたから、ある程度冷静に分析というのかな、接しなければいけない部分も感じていて。そこで、自分は支援者なのかなぁ、それとも患者なのかなぁみたいなところで、すごく迷いつつ仕事を続けてきましたね。」