がんと向き合う

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Hana-Sukieさん
(ニックネーム)
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1947年生まれ。神奈川県出身、主婦。家族は夫と、娘2人。2000年12月に直腸癌と肝臓への転移が見つかり、翌年2月に直腸がんと転移先の肝臓の一部を切除。ステージは4。同年9月に再度肝臓への転移が見つかり、肝臓の一部を切除。術後の抗がん剤治療は特になし。2009年7月に大腸ポリープを2つ切除。病気になって、自分磨きを意識するようになり、また家庭を居心地のよい空間にしたいという気持ちが強くなった。子供の頃に読んだ『少女パレアナ』の読書体験が病気と向き合ううえで役に立っている。
8患者さんへのメッセージ

「私はステージ4とかなりひどい状況だったのですが、素晴らしい先生に巡り会えて、最善の治療をしていただいて、いろんなことがよい方向に進んできて、今の状態は本当に奇跡に近いのではないかと思えます。いつもありがたいと思って感謝しています。

ステージ4というと生存率が高くなく、文献を読めば読むほど不安な気持ちが募りますので、情報が入りすぎてもつらいと思います。私の場合は、家族がいろいろ調べてくれた結果、私に必要なポジティブな情報を選択して教えてくれて、精神的に前向きになれました。情報はすべてを信じこむのでなく、(家族も)本人にとって必要な情報を厳選することが大切だと思います。」

●強い信念が大きな力に

「私の中ではやはり、娘2人をおいて死ねないということがすごく強かったのです。『絶対に治らなければいけない』という強いものがあって、それが大きな力として動いたのかしらと思うことがあります。強いものというのは、それは自分自身のためでもいいし、人のためでもいいし、お仕事のためでもいい。なにか、そういうものがあるからもう『絶対に治るんだ』という信念が、本当に大きな力になるのではないかと、そんな気がします。

がんは体のことではあるけれども、精神力も必要だということ。私も何度か病院のベッドで涙が出てくることがありました。落ち込むのは当然だと思うのですけど、それでもやはり明るく考えて『治す』というつもりで、病院ではわりと明るくしていました。

『笑いが治す』など、さまざまなことが言われていますが、私もいろいろな力を借りて治ろうとしてきた、それも大きな要因だったのではないかという気がします。笑えない状況だと思うのですけど、笑えない状況でも、どん底を少しでも上に上がったときに笑えるようになったら、その笑いが自分自身を軽くしてくれるかもしれないという、そんな気がします。ですから絶望的にはならないでいただきたいです。余命何ヵ月とおっしゃられた方でも、治っている方が大勢いらっしゃいますから、『最後まで諦めないで』ということです。」

●どーんと心が落ちているときは

「小学生の頃に読んだ『少女パレアナ』(パレアナという少女が、どんなにつらい境遇でも何か喜びを見つけていこうと実践していく物語)の心が、私の中で根付いているような気がします。つらいことや悲しいことがあったり、どーんと心が落ちているときは、少し状態・状況が落ち着いてから、ピンクのタオルなど明るい色の物を身の回りにおいたり、植木鉢に赤やピンクの花を植えたりと、よい“気”が来るようにしておりましたし、“嬉しい”、“楽しい”という気持ちをもつようにしておりました。

今回また大腸に見つかりましたけど、先生には『大腸にがんができたら取り除いていけばいいのです』とおっしゃっていただきましたので、くよくよ心配しなくなりました。

もうこのぐらいの年齢になってきましたから、これからはどういう時が来てもいいように、少しずつ身の回りの片付けもしなければということは思い始めています。あまり物がありすぎても生活しにくいですから、過ごしやすいように片付けましょうとか、今、そういうことも含めて少し動き始めています。とにかく後悔しないように進んでいきたいと思っているのですが、なかなか片付けは進まないですね。」

●諦めないで一歩一歩前に

「入院していたときのことを思うと、今の自分は別世界に連れてきていただいたような感じがします。今、たいへんな状況にいる方がいらっしゃると思うのですけど、将来どうなるかというのは誰にもわからないことですから、とにかく諦めないで、一歩一歩前に進んで行っていれば、気がついたら(道が)開けているということもあると思うのです。私がそうなってきましたから。こういうふうになるとは想像もしていませんでした。とにかく一歩一歩前に歩く、歩く、歩く・・で来て、今のこういう状況があるので、本当に少しずつ前を向いて進んで行ってほしいと思います。」