「血便らしきものが出てくるというのが、2001年3月ぐらいからときどきありました。痔を若いときからちょっと患っていて、結構肛門から出血していることがありましたので、そのときも『痔の出血かな・・・』というような判断をしたのです。

そのあと、便そのものに血が付くようになり、痔の出血とは違うのではないかと思い、ホームドクターに診断してもらおうと、即そちらへお伺いしました。『実は先生、これこれこうだ』と言うと、肛門に指を入れて先生が診断され、『これ痔じゃないよ。すぐ検査をしたほうがいい』と言われて、それで（今の主治医を）紹介されたのです。ホームドクターにも『これは直腸がんだと思う』と言われましたので、『あぁ直腸がんなのかな・・・』という認識をそのときにもちました。」

「私は30歳のときに死ぬような大病をしましたので、自分でも“がんで死ぬ”というようなことにあまりショックを受けない心理状態でした。『あ、がんか。がんなら仕様がないかな・・・』と。それともうひとつは、私は自分で自分の命がなくなるとか、なくならないという予感をわりともてると思っていて、『自分はこの病気では死なないな』という確信みたいなものがあったので、あまり驚きませんでした。

ですから、『早く手術を受けたい』という気持ちのほうが強かったです。それまでも手術は大小を含めて6回ぐらいやっていますから、ある意味で病気慣れしちゃっている。

もうずいぶんいろいろ手術をしましたけど、だいたい皆、名医と言われる方に巡り会うのです。不思議なことに。それだけが私が今までこれだけ命を長らえてきた、大きな原因かもしれませんね。ヤブの方に会っていたら、すでにこの世にいなかったのではないかと思います。」