がんと向き合う

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海老造さん
(えびぞう)
(ニックネーム)
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1933年東京生まれ。伝統工芸職人。2001年に血便があり、かかりつけ医を受診、直腸がんを疑われる。紹介先の大学病院で直腸がんと診断され、直腸がん切除術を受け、人工肛門を造設。術後の抗がん剤治療はなし。退院後、人工肛門によるトラブルを数多く経験するものの、現在は食事や行動を調節して充実した毎日を送る。手術の後遺症、再発、転移はなし。趣味は歌舞伎鑑賞、中国の占いなど。
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8手術の後遺症について

「同じように人工肛門を手術された方と、いろいろ体験談を話したことがあります。いろんな人の話を聞きましたら、後遺症が残る人って結構多いのです。その点、私を手術してくれた先生は非常にストーマの作り方が上手でしたから、トラブルを起こさなくて済むようになっている。それは本当に何物にも代えがたいありがたさだなと私は思います。

皮膚がただれるとか、悲惨な例ってたくさんあるのですよ。もう絶望感だけで、生きていく意味も張り合いもなくなってしまうのではないかと思うような事例を聞いたことがあります。私は幸いにして何のトラブルもないので、それはもう感謝しています。

そういう体を産んでくれた私の両親に感謝するべきなのかどうかわかりませんが、私はあまり皮膚がかぶれるとかを感じない体質なのです。海辺で仕事をしていて、塩水を使うときに皮膚がどうかなったというのも、この年でもまずないです。」

●性機能について

「(私の場合は)手術して3〜4年の間は、それなりの機能がちゃんと働きました。若い人と比較してどうということはありませんが、72〜3歳ぐらいまではまあまあノーマルな反応をしていました。私はもう十分だと思いますけど、ただ若い方のなかには、もし同じように人工肛門になったときに女性といろいろ恋愛して結婚するということになると、いろいろな障害とは言えないのですが、壁のようなものがやはりそこにあるのではないかという感じがします。」

●睡眠は熟睡型

「ちょっと前まではほとんど熟睡型で、夜11時頃に寝て朝6時頃までずっと熟睡していたのですが、さすがに70歳半ば前頃からときどき夜1回だけ、小水に起きるようになりました。これもよく言う加齢現象かどうかはわかりません。私、寝るのは本当によく寝るのです。何か気になって寝られないということを体験したことがないのです。それで手術の前の日でも熟睡しましたから。逆に言うと、寝ないではいられないような体質みたいです。それがある程度、私の健康を支えているのかもわからないです。」

●ストレスはあまり感じない

「ストレスもあまり感じないですね。ストレスを感じるような状況になったことがないのかもしれず、そういう生活とは縁のない生活ではないかと思います。やっている仕事も自分の仕事ですから、誰からも指示も命令もされなくて済みますし、自分のマイペースでやれますし。そういう意味では、仕事上のストレスも全く感じないです。幸いにして家内もあまり恐ろしいほどの女房ではないので、女房のほうから強迫観念が生じるような日常生活でもないですから、その点はあまりストレスはないですね。もしかしたら周りの人がストレスを感じているかもわかりません。」