「(手術から)ちょうど8年経ちました。8年経つとその疾病については完治だというふうに聞いており、この7月も先生に診察していただいたら、『何も問題はないですね』とおっしゃっていただきました。他へ転移するということもありませんでしたから、それはもうありがたかったなと思います。
私の場合、先生が『転移したりする怪しい部分はリンパでもなんでも思い切って(手術のときに)取った』とおっしゃっていましたから、それが私にとって長生きしても不自由な体にはなりましたけど、あとの人生をちゃんと残していただいたかな・・・と思います。」
「自分で今反省しているのは、やはり早期検査。これは大事だなとつくづく思いました。姉はもう亡くなりましたけど、姉がまだ健在だった頃、私によく『直腸がんの内視鏡検査というのを年に1回ぐらいするといい』という話をしていました。姉のつれあいが年に1回ぐらいしていて、『一緒に行こう』と誘われたことがあるのですけど、私はその頃『お尻から内視鏡を入れて検査するのは何かいやだな』という拒否反応みたいなものがありましたから、ほとんどやらないできました。けれど、もっと早くからきちんと年に1回でも大腸内視鏡検査をしていれば、直腸にポリープができたぐらいの段階でポリープ切除ができれば、こういう直腸がんにはならなかったかも。これは、たらればの話ですが、そういう反省はあります。」
「順調であるのかどうかわかりませんけれども、これは神様が与えてくれた私の人生としか言いようがないですね。私個人では何の作為もしていませんでしたから。ただ先ほどからお話ししていますように、食べる物とか、排便感覚とかそういうものは非常に気をつけますけど、がんそのものを転移させないためのいろいろな手だてとかそういのは全くしておりません。
だって人間、自分の体のことは自分ではどうにも左右できないじゃないですか。よくサプリメントを飲むとどうという話を聞きますけど、転移しないための何かを飲むとか、そういうことはいっさいやっていません。
私は自分の病変に対して、その程度の反応しかなかったですね。あまり狼狽したりとかというのはないですよ。何かどこか神経が抜けているのではないかという感じがしますけど。だからその点では、私の家族は楽だったと思います。何か家族のほうが深刻になっていました。
生来的にちょっと呑気なところがある、のんびりしたところがあるという、それだけですよね。あまり、私は何か驚かない。驚かないというか、ちょっと感動が少ないとことがあるのですよ。面白いことにはすぐ反応するのですけど、何だかその他のことにはあまり反応しないというところがちょっとあるのですよね。」