「会社の検診にいつもは秋口ぐらいに行っているのですが、その年はたまたま仕事が空いたので早く行ったのです。6月の頭に行って、『あれ、なんかしこりがあるよ』というところから始まりました。
1年半前にも検診を受けてはいたのですが、そのときは何も問題なしで、たまたま2004年に『あれ?』というところから始まりました。診断を受けていくと全部、ちょっと悪い、ちょっと悪い、ちょっと悪いと進んで、最終的に細胞診をして、結果が出たのは7月6日でした。」
「やっぱり結果を待っている間がいちばんいやでしたよね。うちは伯母が乳がんで亡くなっているので、なにかそっちのほうが頭に出てきてしまい、『がんというのは死んじゃう病気だ』というのが頭にこびりついていました。
検査の予定を入れても、エコーは2週間後とか、タイミングで“待ち”が出ますよね。待っている間、最悪の事態も考えていかないといけないので、仕事もどういうふうにしていこうかということです。クライアントに対してどういうタイミングで説明していこうか、引継ぎをどうしようか、そのへんも最悪の事態を考えながら、手帳とにらめっこをして動いていた感じです。」
「検診でひっかかったときから、上司には言っていました。『実は、検診でしこりがあると言われた』と。そして『たぶんこれから検査が入ってきて、非常に予約がとりにくい。だからそちらを優先させてほしい』というような話です。確定診断が出るまでにはまだ時間がありましたので、『でも、(結果は)どちらかはわからない』というようなことは、まず上司にはいちばん最初に言いました。
家族にはそのときはまだ言わなかったです。というのは、相方(夫)もかなり忙しい生活をしていましたので、余計な心配かけさせたくないし、そこで聞かれても何も答えられないですよね。『いや、まだわからないんだよ』としか言えないので。全部結果が出てから言おうと思っていたのです。ただ、自分の心の中では叔母のことがあったので、『たぶん黒だろうな。たぶんがんだろうな』というような感覚はもっていました。」
「でも結局、途中で耐え切れなくなって、(確定診断が出る)1週間前には夫に言いました。エコー検査の時点で“悪い”というのがわかってきたので、さすがに心がパンクしそうになり、これはもう言ったほうがいいと思って、『実は3週間前からずっと検査で引っかかっていて、これまで検査を受けてきたけど、どうもダメらしい。(がん)・・・かもしれないよ』と。お互い帰ってくるのが遅かったので、夜中の1時ぐらいにはじめて言いました。
『でも決まったわけじゃないから。まぁ、落ち着いて。落ち着いて』と(夫に)言われて、『あ、そうだな』と。わりとうちの相方はのんびりしているというかどっしりしていて、私はどっちかというとちゃかちゃか動いているので、そういう点ではすごく助かりました。」
「1人でいることがとても不安でした。だから職場に行くことで気が紛れるという点ではとてもよかったです。行けば仕事のことを考えますし電話もかかってきますから、その間は病気のことや検査のことも忘れていられるというのがあり、そういう点で仕事はある意味、逃避行動じゃないですが、気を紛らわすにはいちばんよかったです。」