「昼休みに時間があると、(病気のことが)気になって検索したりして、あまりいい情報が出てこなかったり。まだそのときは患者としてどの情報が正しいかという見極める目をもっていなかったので、いろんなサイトに飛んでは『えーっっっ…』と落ち込んでしまったり、『あ。なんだ・・・、だいじょうぶじゃん』というような情報をもらってしまったり、かなりぶれていました。
会社が終わるのがいつもだいたい夜10時、11時でしたので、本屋さんに行っても閉まっていますよね、そうなると観るテレビも別にないし、電話で相談するといっても誰に相談していいかわからないということで、いちばん手っ取り早かったのはやはりインターネットです。言葉を入れれば答えが出てくるので。非常に使いました。」
「最初、『乳腺外科医がいるんだ』ということを知ることから始まりました。乳がんなので婦人科かなと思っていたのです。女性のがんだから婦人科だろうと。『外科なの?』というところから驚いて、サイトで勉強しました。日本乳癌学会のホームページも見て、はじめて知りました。そのぐらい今まで病気とは本当に無縁で、インフルエンザにもかかったことがなかったのですね。
最初に聞いたときには、『えっ、まさか…。まさか自分ががんになるなんて』と。クリニックには行ったことがあっても、大きな病院には行ったことがなく、『紹介状がいるの?何それ』と、イロハのイからわからなかったです。それはもう本当にインターネットで全部サイトを検索して、勉強していくしかなかった。それを1ヵ月間ずっとやりながら仕事も行きながら、家に帰ってくるとインターネットをしていました。
知れば知るほど怖くなるというのはありますし。あとやっぱり叔母の例を見てしまっていたので、推奨グレードAというところだけをなるべく見るようにしていたのですけど。やっぱり人間は都合がよくできていて、自分にいいことしか見なかったりするのですよね。耳に入っているのに聞こえなかったり。
相方のほうは割と冷静に見ていて、いろいろプリントアウトしてくれました。『もしこういう場合でも、こういう治療方法が今あるみたいだよ』とか。わりと客観的に整理して私にプレゼンテーションしてくれたので、その点でもすごく助かりました。」
「病院はめちゃくちゃ探しました。それはやはりインターネットで探しました。まず乳腺外科医がいるところにしようということ。また病院の先生とは長い付き合いになると思ったのですね。それを考えると私はよくても、家族が通いきれないとたいへんかなということで、自宅からいちばん近い都立病院がありました。そこに乳腺外科があり、先生が指導医をされるような先生でしたので、『もういちかばちか、ここにしよう』という気持ちで、そこにお願いしました。
今までそういう大きな病気をしたことがなかったので、巨大病院はすごく怖かったのですよね。それで中規模くらいのとにかく近所がいいということ。あと乳腺外科がとても混んでいるのです。私はとにかく悪いものを早くとってほしいと思っていたので。今から思えばそんなに慌ててとらなくても、乳がんはそんなに急に大きくなるわけではないので、もう少し見極めてもよかったのですけれども。とにかく1日でも早く切りたかった。近所には当時、大きながん専門の病院もあったのですが、電話をして聞くと4ヵ月待ちぐらいでした。そんなに待っていられないと思い、近くのもうひとつの病院のほうにたまたま電話をしたら、『偶然、ひとわくだけキャンセルが出ています。2日後ですが来られますか?』と言われた。もう本当にわらをもすがる思いで『行きます!』と言って、そこの病院でお世話になりました。もしあのときキャンセルがなかったら、本当にその時点で路頭に迷ってしまうというか、またそこから別の病院に動かないといけないかな、とかいろいろ考えました。」