がんと向き合う

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桜井なおみさん
桜井なおみさん
(さくらい・なおみ)
キャンサーソリューションズ(株)代表取締役
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1967年生まれ。37歳のときに乳がんが見つかり、右乳房切除術と化学療法(FEC)およびホルモン療法を受ける。がんサバイバーとしてがん患者の就労支援、さらに東日本大震災で被災されたがん患者の支援に国内外を奔走。家族は夫。ブログ:Since37歳★New癌★Survivor
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6ホルモン療法と副作用

「ホルモン療法は毎朝錠剤と、(病院で)リュープリンという薬をお腹に打っています。リュープリンは昔、1ヵ月製剤しかなく、月1回は外来通院が絶対に必須だったのですが、いまは3ヵ月製剤が出てきたので、通院は3ヵ月に1度に済んできています。その薬がなかったら、毎月行かなくてはいけないので、経済的な負担と、それよりも時間的な負担がとても大きいだろうなと思います。

やはり打ったあと、痛くなるのですよね。薬が中に残っているので、ちょっと触ると硬いものが中にあるというのが2〜3日はあります。それ以外にhot flash、いわゆる更年期障害の症状はかなりいろいろ出ました。」

●心療内科に通院

「心療内科にも通うようになりました。それはホルモン療法を始める前に主治医に言われたのですが、いわゆる35〜37歳ぐらいはいちばん女性ホルモンが出ていて、そこから治療でゼロに近い状態までにするのは、身体にとってはとてもびっくりな事件なのです。大事件なので『いろんな更年期障害の症状が出るよ』とは言われていました。

でもどういうことかあまりわかっていなくて、最初、早朝覚醒をするようになりました。それはホルモン療法が始まって半年ぐらいたってからです。ホルモン療法は節分の日から始まりました。鬼は外で、節分の日から始めたので、そこから8月〜9月ぐらい。夜中の3時、2時に目がパチっと覚めて、そこから眠れないのです。寝るのは11時とか12時とかに寝ますけど、それで2時、3時というと実質2時間ぐらいしか寝ていないのですね。

会社に行く生活がずっと続いて、さすがに1ヵ月、2ヵ月たったら身体がもうついていけない、職場に行っても眠くてしょうがないし、これはなんかおかしい、なんだろうと思って友達に相談したら、『それは早朝覚醒よ。もう典型的な更年期障害』と言われました。また同時に『結構気分の落ち込みとかない?』と言われて、『ある。今まで気にならなかったような一言がとっても気になって、そこで(思考が)とまってしまったりすることがある』と。それで仕事も『どういうふうに働いていこうか』と悩んでいたりもしました。『何月何日までに、会議の資料を作ってくれ』と期限を決められてしまうと、その瞬間にもう心臓がバクバクしちゃったのです。動悸が激しくて、道を歩いていてうずくまってしまうぐらい痛くなっちゃうときも出てきました。

あと仕事のプレッシャー、責任感をとても感じてましたので、自分で自分を追い詰めてしまっていた部分もあるのかなと思います。がんばりすぎていたというか。

それでもう自分で『これはおかしい』と思って、思い切って心療内科に行ったのです。今、精神安定剤、睡眠薬とこれだけ薬はいろいろと出ています。でも最近はあまり飲む機会は少なくなったかな。いちばん気を張り詰めていたころは、1日3回飲まないと、身体がこわばっちゃっているのですね。だからもう筋肉痛みたいな症状も出てしまったり、胸の苦しさも出てしまったり。私は皆さんのイメージだと明るくて、病気なんてという感じだと思われると思うのですけど、実はそうではなくて、私もやっぱりこういう薬を使って、あるいはこういう薬に支えられながら、乗り越えていた時期もあるのです。」

●2度目の手術

「3年目に、ちょうど2回目の手術を受けました。胸壁腫瘤というしこりができて、白か黒か『細胞をとってみなければわからない。どうしようか。では、とろう』ということになり、2度目の手術を受けたのです。そんなこともあり、何かますます『そういう運命だったんだな。この病気はそういう病気なんだな』とつくづく感じました。」

●主治医の転院

「そのあと主治医が転院になってしまい、実家のほうに戻ってしまいました。通いきれるような距離ではなかったので、(私も)転院をして、別の病院に行きました。その病院を選ぶときにかなり悩みました。自分のことを考えると、これから先もう外科医はいらないな、何かあったときには、腫瘍内科医、お薬のほうと緩和のほうが重要だなと思ったので、そういうところが備わっている所を選びました。」