1職場でがんを公表
37歳のとき、会社の健診で右胸にしこりが見つかり、病院で検査を受けたところ、乳がんと診断された。当時、チーフデザイナーとしていくつも仕事を抱えていた桜井さんは、仕事の引継ぎを考えて、職場でがんを公表した。
「皆がわりと若い会社で、私がだいたい平均年齢でした。皆、親も元気だし、周りも元気だし、自分も元気で、私がはじめてがんという大きな病気をした人間になったのです。だから皆も何て言っていいのかわからないというオーラがバーっと出ました。上司に言うと、上司も『えっ』っていう感じで。お互いに『冷静に、冷静に』という感じでした。
そのあとすぐ社内会議ですね。『ちょっとみんな集まってくれ』ということで。そこでまず自分ががんになったこと、おそらく手術が必要で、手術の時期がいつぐらいになるということ、それから術後どうなるのかということをすべて、今わかっている情報はすべて伝えました。それで、病理の結果が出ないとわからないけれど、とりあえず1ヵ月はたぶん休むことにならざるをえない、その間、仕事をどうしようかという引継ぎの話をどんどんしていきました。職場のほうに必要なことは全部言いましたし、情報開示はわりと早くしました。」