統合失調症と向き合う

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米島健二さん
米島 健二さん
(よねしま・けんじ)
48歳。32歳のときに統合失調症と診断。現在、精神障害者のセルフヘルプ・グループ「NPO法人Wendy(ウエンディ)21」の所長として活躍。10年前に障害者小規模共同作業所として北九州市の認可を受け、2008年4月からは地域活動支援センターウエンディ本部として動いている。妻、娘(5歳)、妻の母親と4人暮らし。
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3現在の症状と薬
●妄想、幻聴

「僕は、門司にある病院に初診からいまだに通っています。
現在の症状というのは、妄想があるんですよね。院長が僕の主治医なんですが、院長が言うには、日常生活に害のない妄想、例えば宗教であるとかそういったものは別にもっていても構わないよということで、今、もっている妄想が宇宙の大いなる存在とか、地球、ガイアの意識とか、人間の深層心理とか、そういうものが全部つながっていて、丸聞こえなんですよ。僕が考えたこととかが全部伝わっているという妄想があるんですよね。
それが今、妄想だって言えるけれども、実際に妄想の中にはまってしまうと、歯止めがきかなくなってほんとにひろまっちゃうから、じゃあ引きこもれということになってしまうんですけども、今はそういうのは妄想だと思っていて。そのぐらいの妄想なら良いかなと。

幻聴は、僕の場合は、朝必ず誰かに起こされるんですよ、声で。まあ、夢なんでしょうけども。入院当時は、念仏が聞こえたりとか、ピーポーピーポーという車の音がチャルメラの音に聞こえたりとかいろいろあったんですけど、今は、朝起きるときと夜寝入るとき、夜寝入るときは、ばかやろうとかそういう声が入ってくるので、眠る邪魔をするんですけどね。今、そういうときは睡眠薬を飲んで寝るので、こてっと寝れます。」

●うつ状態と自殺企図

「現在の症状で一番困っているのは、陰性症状といって注意力とか根気がなくなったりとか、終始漠然とした不安感とか焦燥感があって、時々、今の生活が苦しくて蒸発したくなるんですよね。もっとひどくなると死にたくなって。

最近なんですけど、3年ぐらい前に自殺未遂を1回しました。でもそれは1回で懲りたので、絶対もうしないという約束を妻ともしました。そのときも心神耗弱状態といって、自分ではやったことを憶えてないんですよ。ただいきなり窓から飛び降りたからびっくりして。うちは市営アパートで1階だから、別にちょっとけがしたぐらいで済んだんですけども、実家は4階のマンションなんで、あそこから飛び降りていたら絶対に死んでいたなと思って。

よく新聞やテレビで心神耗弱状態だからどうのこうのというけども、やっぱりそういう意味では、ちょっと恐ろしい病気だなと自分でそのとき初めて自覚したんですよね。それまでは結構病気をなめていて、薬を飲んでいれば、なんとか日常生活できるわい、ぐらいに思っていたんですけども、もっと真剣に、自分の性根の部分、根性の部分から治療していなかないととんでもないことになるかもしれないということを感じました。」

●現在、飲んでいる薬

「ロナセンの4ミリグラムというのを朝1錠、夕方1錠(を飲んでいます)。ロナセンの前に飲んでいた薬の副作用でアカシジアといって、いてもたってもいられなくて歩き回ったり転げ回ったりしないと気が済まない症状が僕あるんですよ。これは、薬を変えても治らないから、トリヘキシン錠2ミリグラムを朝と夕に1錠ずつ飲んでいるのと、ロシゾピロン錠50ミリグラムを、眠前に1錠。これはよっぽど疲れたときにしか飲まない。これを飲むと口が渇くし、しゃべれなくなるし、ろれつが回らなくなるしつらいので、休みのときとかほんとに疲れたときにロシゾピロンを飲んでいます。単純にちょっと気分が高まって眠れないときはロヒプノール錠を1日2錠まで。夜中3時以降は飲まないようにという指示がでているんですけども、ロヒプノールで、こてんと眠れるんで、その点はあの不眠症の人に比べたら楽かと思います。

今いった処方というのは、今年(2009年)の2月から変えてもらったんですよね。ロナセンって新薬だから、いろいろ情報を(入手して)、院長先生も試してみてそれならOKだよと言うのにだいぶ時間がかかったんですけど。で、変えてからかなり頭がすっきりしたというか、だいぶ調子が上がってきました。」

ロナセン(ブロナンセリン):非定型抗精神病薬
トリヘキシン(塩酸トリヘキシフェニジル錠):中枢神経系用薬 、抗パーキンソン薬
ロシゾピロン(ゾテピン):非定型抗精神病薬
ロヒプノール(フルニトラゼパム):睡眠薬

●薬の変更

「退院して自分がどんな薬を飲んでいるかが分かるようになるから、そうすると僕は新薬のほうがいいなと思ったりするんですよね。だからそれを医者にぶつけたりとか(します)。

あとは当事者同士で話をすると、この薬はよく眠れるとかこの薬はちょっと副作用で苦しいとかいろんな情報が伝わってくるので、僕の場合は自分のほうから(先生に)リクエストをするんですよ。すぐには許可されないけども、何度か何度か言っていって、この薬はこんなことも言われているんですよということを言ったら、ううーんじゃあ、出してやろうかと感じで、悪くなったらちゃんとすぐに病院にくるんですよと言われています。」

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