「僕の場合、40(歳)すぎてから結婚して、慌てて市営アパートに入居申込みして、運が良く障害者枠というので入居できたんです。
入居して2年目には、棟長といって棟の会費を集めて回ったりとか掃除当番の表を書いたりとか棟費の会計をしたりとか、そういう順番が巡ってきたんですよね。で、障害者世帯だから遠慮すればよかったんだけども、やっぱり、周りもいろいろ事情がある中でやっているだろうから、棟長の仕事を引く受けなきゃならないということで、1年間棟長やってみました。
でも、アパートにどんな人が住んでいるかとか分かってきて。月1回のアパート掃除が日曜の早朝にあるんですけども、ほんとは寝ときたいんだけども、無理して起きて、近所の人に顔憶えてもらう。娘や妻の顔を見てもらうとか。妻はすごく内向的な性格なもので、公園に娘をつれていって遊ばせることすらできないんですよ。だからアパート掃除に出て行くのも大変なんですけどもね。でもそうやっているうちに、地域というか、まあたかだか狭い団地の中ですけどね、その団地の中ではちょっとずつ知った顔が増えていったなと。もう5年になるんですけども。そういう感じです。」
「そうですね。僕が救急車呼んで入院したりとかしたものですから、僕の病気のことはみんなうすうす知っているんですよね。で、妻の状態も見ていますから、みんな気を遣ってくれて、あまり無茶なことをうちに言ってこなくなったし。私は統合失調症ですって名乗ったわけではないですけども、なんらかの障害をお持ちの家族なんだなということは理解してもらっているみたいです。で、今、義母は足も悪いし、それで引き取っているから、みんな通りかかったら声かけてくれたりしています。
うちのアパートは特殊なアパートで、1回全部工事をし直して入れ替えるときに、困窮者向けのアパートということで、障害者世帯がうちだけじゃなくて、母子家庭とか大家族とか複合的に住宅に困窮している人たちが一挙に入居しているアパートだから、みんなそれなりの事情を抱えているんですよね。だからうちだけ特殊だというわけじゃないんで、そのへんは大丈夫です。」
「(保育園には)僕の本を図書コーナーに置いてもらっていて、ご自由にお読み下さいとなっていて、(娘と)同じクラスの仲の良いお父さんとかお母さんが借りて読んでくれたりしているし、一緒に(娘と)遊んでくれています。
保育園は障害者世帯だとまずお金がいらないんですよ。給食費もいらなくて、絵本代とか道具代ぐらいしかいらないんですよね。僕、収入も少ないし、年金は課税所得じゃないので、住民税非課税世帯なんですよ。ゼロ歳から(娘を保育園に)入れても良かったらしいんですよね。でも僕たちはそれを知らなくて3年保育だろうと思っていたから、3歳になるまではこの作業所に通って、みんなと一緒に遊んでいました。」