「(今は)安定しているほうですね。新しい薬が出始めて、副作用がだいぶ減ったことで、今までと比べ物にならないくらい楽にはなったんですけど。新薬に切り替わったのはたぶん10年ほど前からですかね。新薬に切り替わってからは、新薬4種類ぐらい、交互に試したんですけど、今の量の薬になってからは、まだ1年経っていないですかね。
現在は、セロクエルの25ミリグラム錠と100ミリグラム錠、あとは副作用止めにアーテンがあって、下剤としてマグミットが出て、眠前にレンドルミンと、あとセロクエルの100ミリグラム錠を飲んでます。あと、頓服で出していただいているのは、デパスです。」
セロクエル(フマル酸クエチアピン):非定型抗精神病薬
アーテン(塩酸トリヘキシフェニジル):抗パーキンソン病薬
マグミット(酸化マグネシウム):緩下剤
レンドルミン(ブロチゾラム):催眠鎮静剤
デパス(エチゾラム):抗不安薬
「飲んでいます。これはですね、病院にかかりだしてしばらくしたときに、まだそのとき精神科の薬ってすごく悪役の目でみんなに見られてて。うちの家族も『あんなもの、あんまり飲まんほうがええんちゃうか』っていうふうに言ってくるようになったんですね。飲まんと置いといて、病院では飲んでいるって言えばいいじゃんみたいな感じで言われていて、自分でもそうかなと一瞬思っていたときがあって。そのときに、母が親戚に聞いてきたらしくって、祈祷師(きとうし)さんのところへ連れて行かれたんですね、私。そしたら、そこの祈祷師の方もやっぱり『そんなものは飲んではいけない』とおっしゃって、じゃあ、やっぱりそうなのかと思って、それから薬を勝手に止めちゃったんです。
最初1か月、2か月ぐらいは、だるさも取れたし楽ぅ、やっぱり元気になったわ、と思っていたんですけど、それから1か月ぐらいして、私、初めてリストカットしちゃったんですよ。でそのときに先生に言ったら、『薬がどうして嫌なのかを言ってくれれば、僕らも考えたから。とにかくもう勝手な断薬だけは絶対にやめてくれ』って言われました。それ以来、まじめに飲んでいます。」
「副作用は、旧薬だったときは、過鎮静と言って、鎮静しすぎるんですよ。で、さっきも言いましたけども、ひたすら眠い、眠い、だるい、だるいっていうのと、あとは口がすごく渇くんですね。で、ずっとお茶を飲んでいるんですけど。あと便秘もひどくなりましたし、ほかには生理不順もひどくなりました。あとは、薬の種類とか量によってもちょっと違うんですけど、最初の頃は、眠れないのでどんどん頓服(薬)を勝手に追加していってしまってて、そうするとアカシジアっていう副作用が出てきて、これは辛かったですね。寝られないんです、足とか、もうむずむずして。そういう副作用があったんですけど、新薬に切り替わってからはほとんどそういうことがなくなって、代わりに、体重が増えてきたんですね。あと、糖尿(病)になるかもしれないので、なるべく、定期的に血糖値は測ってくださいと言われました。」
アカシジア:静座不能症あるいは着座不能症とも呼ばれる。抗精神病薬による錐体外路症状として出現することがある。じっとしていることができず座ったり立ったり、落ち着きなく、足がむずむずしたり、執拗に歩き回ったり、焦燥感、易刺激性、不安などの精神症状を示す。精神症状の悪化と誤診されやすい。抗パーキンソン病薬(抗コリン性)、βブロッカーやベンゾジアゼピン系の薬剤が処方される。また抗精神病薬の数や量を減らしたり、副作用の少ない薬剤に切り替えることで症状は改善される。