「やっぱり一番言いたいのは、けしてあきらめないでほしいなと思うんですね。もちろんご自身もそうだと思うんですけど、ご家族の方が最初に投げちゃったらやっぱりだめだろうと思うんです。やっぱり治療に時間のかかる病気ですけど、どんな遠回りになっても、やっぱり生き直すこともできるし、育ち直すことだってできると思うんですよ、自分の経験から。だからこの経験がただの挫折やとか思わないで、これからの自分の糧になるっていうふうに思ってほしいなあと思っています。」
「私の中ではここ(もくれん)へ通うようになってから、そういう気持ちがどんどん湧いてきたというのはあるんですね。ここにきてスタッフにしてもメンバーさんにしてもほんとにいろいろ良くしてもらったんです。私は自分が孤独やったところを仲間に助けてもらったと思っていますし、こちらのスタッフも、仕事やからって言っちゃうと身も蓋もないんですけど、それでも真剣にメンバーさんと向き合ってくれているというのをひしひし感じるんです。ときには一緒に怒ったり泣いたりしてくれたときもありましたし、そういう気持ちが私はすごくうれしかったんです。
その中で就労移行に参加したりとかして、自分の可能性もたくさん引き出してくれたと思っていますし。私、文章を書くようになったきっかけというのが、昔ここで担当してくださっていた相談員の方のお陰なんですよ。まだ通い出して自分の気持ちをうまく伝えられなかったときに、『辛かったらこのノートに書いて私に見せてね』って言ってくださって、それからちょっとずつ書いていけるようになったんです。で、そうしているうちにだんだん文章力が鍛えられたって(いうこと)、自分で言っちゃっていいのかな、があったので、やっぱここに来られたのが、ほんとにすごく大きかったと(思います)。
だから、病気のことを気にしておうちの中からなかなか出られないという方もたくさんいると思うんですけど、外へ出て行ったら必ず何かあるなと、私は思っています。だから、怖がらずに出て行ってもらえたらいいなと思います。」
「他のご家族の方には、病気になったからといって、あなたのそのご家族が変わってしまったわけではないんだよ、っていうのを言いたいんです。根っこのところには、やっぱり、優しい、すごく優しすぎたりとか、繊細すぎたり、純粋すぎたりっていうすごい良いところが行き過ぎたから、そういう病気になっているんだということを、まず覚えておいてほしいなと思っています。
自分の家族に対しては、ほんとにありがとう、っていう気持ちが一番強いです。」
「患者さんの感じている恐怖とか不安というのは、やっぱり病気じゃない方にはわからないと私は思っているんですね。だけど、患者さんの気持ちを全部理解してくれなくていいから寄り添っているよという気持ちはずっと持ち続けてほしいと思っています。
(敏感に?)わかります。なんか顔色をうかがうっていう癖もあるんですけど。特に病気をしてからは、敏感に感じるようになりましたね。」