「私、“アヒル”と言っているものがあるんですよ。いわゆる、普通の人が言うと発作になると思うんですけど。簡単に言いますと、傍から見てる分には、私がボーッとしているようにしか見えないんですけど、その時の私の心の中は、『わあ何が何だか訳が分かんない、怖いよ辛いよ助けて〜』みたいな。アヒルがお池に浮かんでいるだけなのに、水の下は、沈まないようにこんなになって、あれに似てるんで『アヒルになる』という言い方をするようにしたんですよ。
週に1回は、必ず来ますね。“アヒル”にもレベルがあって、レベル1というのは“ちびアヒル”がぴょこぴょこぴょこぴょこしていて、気もそぞろで落ち着かなくてという感じなんですけど、レベル3は“でかアヒル”がどーんと道の真ん中を塞いでいて、どうにもならないような状況で、レベル5はマックスなんですけど、レベル5まで行っちゃうと3つ首の“アヒルギドラ”が火を噴いていてもうどうにもならないという状況です。
その5段階があるんですけど、アヒルレベル1、2ぐらいは、講師派遣活動の時に出てくれるとかえって都合が良いというのがあって。なんか気もそぞろで落ちつかないから上がらないというほうにも行くので。」
「ありますね。この間発見したんですけど、娘を迎えに行って帰る道で彼と娘の後ろを歩いちゃいけないというのがあって。なんて言うんですかね。前に彼と娘に歩かれて私が後ろからついていくと、『ここで私がどこかに行っちゃっても、この2人気づかないのかな』とかそういうふうに悪いふうに悪いふうに考えちゃう癖が出てきて、完全に“アヒル”出ちゃうんですよ、その時点で。だから帰り道では、私は前を歩いて彼と娘を後ろで、たまに娘が『おかあちゃーん、一緒に手をつなごう』って前に来ることはあるんだけど、娘と私が手をつないで歩いている分には、彼が前に行ってもいいんですけど、2人で私の前を歩かれちゃうともう完全に“アヒル”が出ちゃう。そういう発見が最近あって…。」
「娘を迎えに行って、うちに帰ってきて“アヒル”が出ちゃった時に夕飯を作れないというのが一番のネックです、それこそ。
まず1つの案としては、アヒルが去るのを少し待って、『夕飯遅くなるけど待って』というのと、彼が料理をするというのと、その2つ、二者択一なんですけど。いやあ、彼がやる気になる時があるんですよ、たまに。そうでなければ、『遅くなっても君が作れ』みたいな話になっちゃうし。
“アヒル”が出ちゃうのは、ほんとに困ることで…。ただ、私の“アヒル”というのは、“再発防止戦隊アヒルンジャー”と、私は言ってるんですけど。 “アヒル”がちょこちょこ出るから、たぶん統合失調症の再発はないだろうとふんでるんですよ、私。とにかくしょっちゅう、それこそ週に1回ぐらいの割で“アヒル”が出てくるから、“アヒル”が出ることで、私、結局、強制終了しちゃうんですよ。もう動けない話せないという状況になっちゃって、ボーッとしているだけで時間ばかり過ぎていって。だから、“アヒル”が出ることによって、再発をとどめてくれているという感じがあって。その中で、私がいったいどこで疲労回復しているのかという疑問があったんですけど、“アヒル”が出ている間に、結局すべてが私の中でストップするから、そこでどうも休憩というかガス抜きをしているみたいなところがあって…。
ただ“アヒル”に出られちゃうとすべてが強制終了されてしまうので、日常生活という面からも困るし、大事な講演に行っている最中に“アヒル”が出ちゃったということが1回だけあるので…。」