「我々は、心の病というふうに、一般的に言われていますけれども、本来はというか、脳の神経伝達物質の異常なのですよね。ですから、薬が有効に働く。だから、ちゃんと薬を飲む理由があって……。“心の病”にしたら、何を飲んでいいか分からないですよね。
で、その図は、よく事件や何かがあると、『(精神障害者は)訳の分からないことを言っている』と。訳の分からないことを言っているのではなくて、本人の内部では、ちゃんと論理性があって、たまたま家族とか他の人が、論理性の関係というのは、幻聴とかの影響もあって途切れ途切れに出てくるから、話が飛んだような感じになってしまうのですよね。だけど本人の内部ではつながっているので、そのための図を作ったのです。
当事者から見た統合失調症の症状のイメージ図
(石山勲:精神保健・医療・福祉の正しい理解のために、58p、萌文社、2005より)
これですと、A=BからA=Z、例えば、A=Bが、『私は石山です』というところから、私は作家志望で、何々賞が取れそうだというような、幻聴とか妄想とかが出てきたりします。あまり病気を放っておくと、最後のほうになると、『私は天皇です』と言ってしまう時もあるわけですよね。だからちゃんと論理性があって、いきなり話が飛んで思いつきというわけではないと。
ですから、早期治療が必要です。ここで言っているのは、服薬の継続、適切な医師の指示、本人家族の病気の受容、社会資源での友人・仲間づくりを挙げていて、これでやっていけば、ほぼ、みなさん一定レベルまでは安定すると思います。
その時に、お互いに情報を提供しながらやっていけば……。あと、やはり引きこもらないほうがいいですよね。なるべく社会資源を利用すると。」
「ありましたよ。何週間かは。寝て食べて起きて……、それだけ。『俺はこんなにだめな人間か』というふうに落ち込んでいましたからね。だから(外に)出たくないのではなくて、動けない状態。
で、本屋に行って、本を読んで、そこで、『あれ、これ俺となんか似てるな』みたいなところから発見があって。で、そういえば、保護室が3日ぐらい、閉鎖病棟が2週間ぐらいの(入院)で本が1冊できてしまうぐらいひどい扱いを受けたので、それからは本を何とかしたいと。で、1年半ぐらいかかったのですけども、原稿を書き上げて……。最初は自費出版だったのですけれども、今では企画出版で、完売してしまっています。」