統合失調症と向き合う

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石山勲さん
石山 勲さん
(いしやま いさお)
1958年(昭和33年)生まれ、56歳(収録時)。システムエンジニアとして働いていた29歳の時に症状が出て、内科を受診し、その後、精神科を受診する。会社は退職。物を書くことが好きで、保護室に入院した時の体験を記した本を発行。現在は、精神科医療施設の研究の手伝いや当事者として講演活動に携わっている。当事者自助グループも運営中。母親と同居。第2回精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)を受賞。著書に、『幽閉』(萌文社)『精神保健・医療・福祉の正しい理解のために』(萌文社など)がある。
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8当事者から見た幻覚症状のイメージ
Q.本に書かれている「当事者から見た幻覚症状のイメージ」について教えてください

「我々は、心の病というふうに、一般的に言われていますけれども、本来はというか、脳の神経伝達物質の異常なのですよね。ですから、薬が有効に働く。だから、ちゃんと薬を飲む理由があって……。“心の病”にしたら、何を飲んでいいか分からないですよね。

で、その図は、よく事件や何かがあると、『(精神障害者は)訳の分からないことを言っている』と。訳の分からないことを言っているのではなくて、本人の内部では、ちゃんと論理性があって、たまたま家族とか他の人が、論理性の関係というのは、幻聴とかの影響もあって途切れ途切れに出てくるから、話が飛んだような感じになってしまうのですよね。だけど本人の内部ではつながっているので、そのための図を作ったのです。

当事者から見た統合失調症の症状のイメージ図
当事者から見た統合失調症の症状のイメージ図
(石山勲:精神保健・医療・福祉の正しい理解のために、58p、萌文社、2005より)

これですと、A=BからA=Z、例えば、A=Bが、『私は石山です』というところから、私は作家志望で、何々賞が取れそうだというような、幻聴とか妄想とかが出てきたりします。あまり病気を放っておくと、最後のほうになると、『私は天皇です』と言ってしまう時もあるわけですよね。だからちゃんと論理性があって、いきなり話が飛んで思いつきというわけではないと。

ですから、早期治療が必要です。ここで言っているのは、服薬の継続、適切な医師の指示、本人家族の病気の受容、社会資源での友人・仲間づくりを挙げていて、これでやっていけば、ほぼ、みなさん一定レベルまでは安定すると思います。

その時に、お互いに情報を提供しながらやっていけば……。あと、やはり引きこもらないほうがいいですよね。なるべく社会資源を利用すると。」

Q.引きこもりになったことはありますか

「ありましたよ。何週間かは。寝て食べて起きて……、それだけ。『俺はこんなにだめな人間か』というふうに落ち込んでいましたからね。だから(外に)出たくないのではなくて、動けない状態。

で、本屋に行って、本を読んで、そこで、『あれ、これ俺となんか似てるな』みたいなところから発見があって。で、そういえば、保護室が3日ぐらい、閉鎖病棟が2週間ぐらいの(入院)で本が1冊できてしまうぐらいひどい扱いを受けたので、それからは本を何とかしたいと。で、1年半ぐらいかかったのですけども、原稿を書き上げて……。最初は自費出版だったのですけれども、今では企画出版で、完売してしまっています。」

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