「最初の入院の時の、保護室の状態ですね。『ここは、治療を行う場ではない』と。
今は2つ目なので。最初の病院のところがひどかったのですよ。今は変わったらしいですけどね。僕は古い病院しか知らないので、(精神科病院は)1回しか入院していないから。ただ、友達の話からすると、ずいぶん良くなったよという話は聞きますね。」
「僕自身が、もともと精神疾患には一般の程度ぐらい偏見がありました。ただ、実際に自分が病気になってみて、そんなにひどくはないよというふうに思い始めて……。
あと自分のことでもありますし、少しでも精神疾患が理解できるようになればいいなということから、まず本を書いて。で、本ができたら、本が流通するようになって、今それに通じて講演活動をやって、家族の人や医療関係者の人などにもお話をさせてもらって、みんなに理解してもらうということが、やっていること。(そして)今後もやりたいことですね。」
「今は家でボーっとしているより、講演をやっていたほうがいいですね。やりがいがあります。やって良かったよということで、だいたいリピーターが増えて、1回行ったらまた来てくださいと言われて。財政上の理由でダメになったところもあるのですけども、それ以外は毎回呼ばれています。だからそれでも自信になりますよね。」
「公認会計士になろうと思って、税理士か……。自営にしながら、小説を書こうと思っていたのですよ。本が好きでしたからね。二十歳ぐらいの時に。
で、山田太一という人の作品が好きで、その人みたいなものができたらいいなと。それは、その人は、特別変わったことを書かないのですよね。日常的なものから何か発見をして、それをみんなに伝えていって共感させてしまうという力があるので、『あ、僕もそんな本ができたらいいな』と。だから、『幽閉』の帯なのですけども、山田先生から一筆もらって入っているのですよ。だから、それは(僕の)宝ですよね。」
「『幽閉』のほうは、精神科閉鎖病棟で、ほんの短い期間だったのですが、もう、これを出さなければ入院の意味がないみたいな感じの本です。内容的には、施設のことと、幻聴はこんなふうに聞こえるということを具体的に書いてあるので、精神科医が読んでも、そんなものかなと分かってもらえる本だと思います。
こちら(『精神保健・医療・福祉の正しい理解のために』)のほうは、自分の入院体験を含めて、社会福祉制度や友達づくりなど、こんな感じで当事者同士接してほしいということを説明している本で、主にこちらのほうを中心にして講演活動をやっております。」