統合失調症と向き合う

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山根耕平さん
山根耕平さん
1971年生まれの44歳(収録時)。2001年に話すことができなくなり、心療内科を受診。その後、症状が悪化し、知り合いの伝手で北海道浦河町の「べてるの家」に行く。精神科を受診し、統合失調症と診断される。症状が安定したのは4年ほど前からで、現在は「べてるの家」の当事者スタッフとして活躍している。精神保健福祉士の資格を有する。
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5薬について
Q.現在、服用している薬を教えてください

「今、飲んでいるというか注射をしているのですけれど、リスパダールコンスタを打っています。なぜリスパダールコンスタになったかというと、僕、10年間具合の悪くなった原因に薬を飲まないで頑張っていたというのがあるのです。薬を飲むと、会社の風景や映像が遠くへ行って、映像が薄れて音声が遠くに行って楽になるのですけど、僕はそれを楽してはいけないと勝手に自分で思って。で、『苦労は買ってでもしなければいけない』と思っていたので、目の前によみがえる映像や音声は真っ正面から立ち向かって根性で治さなければいけない、根性でなんとかなるだろうと思って……。

それで目の前によみがえる会社の映像や音声に対して、『人の命のほうが会社の利益よりも大切でしょう』と睨んだりすると、その向こうにいる友達がびっくりしてしまって。山根君に『こんにちはぁ』と言ったら、『人の命のほうが会社より、利益より大切だ』とか説教されただとか、突然山根君に睨まれたとかという具合の悪い状態が、約10年続いていたのです。

主治医の先生から、『薬に関しては、山根君との間には信頼関係が全くないから、注射でいきましょう』ということになりまして。注射を定期的に打つようになって、見えないはずの映像や音声が遠くに行くようになって、目の前の人を大切にできるようになって、それで、落ち着いたのですね。

今、リスパダールコンスタだけです。ぐっすり寝られます。」

リスパダールコンスタ(リスペリドン持効性懸濁注射液):2週間隔で筋肉内に注射する。

Q.副作用はありますか

「副作用…、ちょっと太りました。食欲が湧くというよりは、まだ食べられる、まだ入るという感覚、まだお腹に物が入るのではないかという感覚で、ついつい食べてしまう。それでちょっと太りました。7キロぐらい太ってしまいました。

(他は)リスパダールコンスタを打つ前、昔から高脂血症(脂質異常症)はあったのですけど、あとは大丈夫です。血圧のほうも正常です。」

Q.治療で辛かったことは?

「治療で辛かったことは……、あんまりないですね。浦河では、苦労が多い人には応援隊がざーっと集まるので。『三度の飯よりミーティング、ミーティング』と言っていますけど。

例えば、言葉が発せられなくなったとか引きこもってしまったとか、そういう苦労をしている人達には同じような苦労をしている人達に、『誰々さんがこれこれで苦労しているのだけど、応援できませんか』と言うと、みんながそれーっと集まってミーティングとかをしてくれるので。たいへんな時ほど仲間が集まって、ああでもないこうでもない、ワイワイワイとやってくれて、それをスタッフがちゃんとコーディネートしてくれていて、ちゃんと見てくれているという安心感があったので、そんなに治療では、僕は苦労をしていないです。」

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