統合失調症と向き合う

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山根耕平さん
山根耕平さん
1971年生まれの44歳(収録時)。2001年に話すことができなくなり、心療内科を受診。その後、症状が悪化し、知り合いの伝手で北海道浦河町の「べてるの家」に行く。精神科を受診し、統合失調症と診断される。症状が安定したのは4年ほど前からで、現在は「べてるの家」の当事者スタッフとして活躍している。精神保健福祉士の資格を有する。
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8べてるの家での位置づけ
Q.山根さんのべてるの家における位置づけは?

「当事者スタッフというのがべてるでありまして、当事者を雇ってくれている形なのです。僕以外にも何人かそういう当事者スタッフがべてるはいまして、そういう先輩から、こういう時は無理しないでこうしたほうがいいよとか、いろんなアドバイスももらえます。で、普通のスタッフほど、実は働いていないです。ちょっと楽です。あんまり大きな声では言えないですけど。

管理者の方が心配してくれていて……。メンバーだったのに、(2015年)4月からスタッフになったから、いきなり支援を受ける人が支援され(す)る側になって、100%切り替わってしまうのではなくて、山根さんは当事者だから当事者活動としての側面も大切にしてほしいと言われます。例えば朝のミーティングの時は、普通のスタッフは、机に座って事務作業をしているのですけど、僕とか同じ当事者のスタッフさんとかは、みんなの輪の中に入って、みんなと交流して、みんなの様子を見ながら、メモとかは取らなくていいから、仲間になって溶け込んでほしいと言われているので、そういう所で、なんだろうな、回復プログラムに参加している者になるのだと思います。」

Q.当事者スタッフとして活動する上で気をつけていることは?

「やはり一人きりにならないようにすることですね。僕は、(大学の専攻が)理工系だったということもあるのですけど、コンピューターとか一人で物をコツコツ作るとかということが好き。一人でパソコンに向かっていると、そればかりずうっとやってしまって、ワーワー周りがやっていても、周りでけんかが起こっても気づかないで一所懸命やってしまったりするのです。

それをやっているとコンピューターは言うことを聞いてくれるので、どんな無理を言っても、プログラム上合っていれば全部やってくれるのですけど、人間関係はそうではないので、同じ仲間に変なことを言うと、お前、大丈夫か、それはちょっとずれているのではないかとか、ああしたほうがいい、こうしたほうがいいとワイワイワイワイやれるので、ちょっと具合が悪い方向に向かいそうな時にも軌道修正できる。やはり豊かな場にいると自分自身が安心できるので、自分自身の安定している、安定させようとする方法としては仲間の中にいることを大切にしています。」

Q.講演活動は体調が良くなってから行くようになったのですか

「いや、講演は、その前から行っていました。講演は具合が悪い人も、なんというかきちんと連れていってくれるのです。べてるの講演はそのテーマに合った人をそれぞれ連れて行くので、完全に病気が治って全然問題のない人を連れて行くのではなくて、そのテーマに合わせて、その問題を抱えて苦労している人を連れて行くので、僕も状態が悪いまま、結構、講演は行っていました。」

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