がんと向き合う

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6治療後の生活

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図1
「ポリープ(またはがん)を内視鏡治療で切除したあと、そこの粘膜がすぐに再生されるわけではありません。一定期間は傷がある状態と考えないといけないので、治療後1週間ぐらいは消化のよい食事をとり、アルコール、熱いお風呂、激しい運動を控えて、何かあったときに対応できないと困りますから旅行などの遠出は少し控えましょう(図1)。

また、切除したところは粘膜がない状態になっていますから、排便で少し血がにじむことがあります。ですから、排便後に出血がないかどうか確認することが大事です。少量の出血はあまり心配はないのですが、便器が真っ赤になるような出血があったり、それが30分ごとに起こるという場合は、現時点でもまだ患部から出血しているということになりますので、やはり排便の状態、出血がないかどうかを自分で確認することは大事です。

通常は数日以内に出血は治まってくるのが一般的です。量的にもそれほど多くなければ、そのまま経過を見ていただいてよろしいと思います。ただやはり少し不安があるような場合には、お医者さん、あるいは看護師さんに相談することも大事です。治療後の注意事項についてはちゃんと説明がありますから、それに従ってきちんと守っていただければよろしいと思います。」

●その後の治療方針

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図2
「『内視鏡でがんがとれたからもう終わり』というわけではありません。その病変が治療前に判断していたものと程度が一致しているかどうかが大事です。がんを切りとったらそのまま放っておくのではなく、きちんと切りとった病変を回収して、顕微鏡で詳しく調べます。この病理検査は非常に大事で、(その結果をもとに)その後の治療方針を決めることになります(図2)。

調べるのは、がん細胞がどの程度のもので、がんの周辺のリンパ管や脈管にがん細胞がないかどうか、がんの深達度が粘膜にとどまっていたのか、それより深く入っていたのか、切り口はちゃんときれいにとれているかどうか、とり残しがないような状態に治療ができているかどうか、それらをすべて確認します。

たとえば、がんがきちんととれている、脈管侵襲(リンパ管や静脈にがんが入り込んでいること)もないということであれば、治療はそれで完結します。残念ながら、切りとったぎりぎりのところにがんが及んでいて、ひょっとするととり残している可能性がある、あるいはリンパ管・静脈にがんが広がっている、あるいはとれてはいるけれども、粘膜下層のしみ出しが予想より深くて1mmを超えていた、というような場合は、リンパ節転移の頻度が少し高い可能性がありますので、リンパ節転移の危険性を考慮して、追加の外科的な切除が必要になる場合があります。ですから、病理検査をしっかりすることによって、その後の治療方針が決まり、それによってがんが治しきれるかどうかに関わってくるので、内視鏡治療後の病理検査はとても大事な検査になります。」

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