「そのヘルパー的な仕事を離れることになり、仕事を探そうと思ってハローワークに行きました。障害者窓口に行って『仕事を探したい』と話をすると、同じ町内に現場事務所で1年5ヵ月と期間の決まっている仕事があり、『これだと楽かな』と思いました。まだ正社員で働くことに自信がなかったのと、期間が決まっているというのも魅力で、しかも事務職だったのでいいかなと思い、何も考えずに『じゃ、ここに行きます』と言って決めました。
それがゼネコンの現場事務所だったのですが、所長もすごくいい人で、一応病気のことはハローワークのほうから話が行ってわかっているはずなのですが、面接のときも別にあえて何も聞かないし。『いつから来られる?』と所長と人事担当者とで面接してくれたのですが、すごくいい感じで話が進み、採用になりました。
現場事務所だからそうだったのですが、トイレが仮設ということを何も考えていませんでした。なんとかなるかなと思って。昼間は皆ほとんど出て行き、事務所にひとりでした。ストーマから音が鳴っても、誰もいないと気にしなくていいし、すごく楽でした。」
「そのあとは、事務所の下請の業者さんが『今度組合を作るから、そこの事務をしないか』と言ってくれたのですね。場所もすごく近かったので行くことにしました。最初は病気とストーマのことも言ってなかったのですが、仕事に行き始めてからしばらくして、一応理事長には言っておいたほうがよいかなと思って、『私、直腸がんになったことがあるのです』と言いました。すると『(ストーマの)袋つけとんか?』と言われて、そう言われるとは思わなかったので『あれ?』と思いました。理事長の奥さんが乳がんをされていて、がんのこともわかっていた人なので、知っていたのかなと思うのですけど。でもわかりやすかったので『まあ、そうです』と答えました。だからといって別に何もなく、仕事も普通にさせてもらえてすごくよかったです。トイレは仮設でひどかったのですが、途中でちゃんと洋式のいいのに変えてもらえました。」
「工事をするときに置いてあるトイレありますよね。夏だと薬を入れないと虫が上がってくるような、そんなトイレだったのです。それは事務所の外にあったので、裏にあったローソンからお客さんが回って来て使っていたりして、『ここでは排泄物の処理なんてできないな』というようなトイレでした。どうしようもないときやちょっと調子が悪いときは、家まで車で5分くらいだったので、事務所の鍵を閉めてしまって家に帰っていました。」
「最初、手術したときに私はストーマケアのことを教えてもらっていないので、自分でどんなふうにもできたのですね。便の捨て方とかを看護師に教えてもらっている場合は、『ケアはこうしないといけない』とか、『トイレは洋式じゃないと無理』とか言う人がいるのですが、何も教えてもらえなかった分、かえって和式でも洋式でもどこでも大丈夫というのがあって、その点は楽でした。
『オストメイト対応トイレ』は、漏れたときや装具が外れたときにすごく助かります。汚物流しもちょうどの高さのところでできるし、シャワーもついています。外出先で漏れたりすることもあるので、何かあったときにはそういうトイレに行きます。」