がんと向き合う

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武藤 勇 さん
(むとう・いさむ)
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岡山県出身。41歳(1986年)のとき家族性大腸ポリポーシスによる大腸がんと診断され、大腸を全摘出、ストーマ(人工肛門)を小腸に造設。60歳でガソリンスタンドの経営を退き、人生を探す旅を開始。2010年旅先の北海道で感じた思いから、牧師になることを決意。自宅を「フリースペース風曜日」として開放、お年寄りから若い人まで多くの人が交流する場となり、自身の使命を追求する毎日。
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2家族性大腸ポリポーシス

「私の母も同じ病気で、私が高校時代に直腸がんで亡くなっているんです。母は術後3年で亡くなって、親族も4〜5人同じ病気ですでに亡くなられていた。だから自分も『手術が成功しても3年の命なのかな・・・』という本当に不安な思いがあったのを覚えています。

母が当時、人工肛門で非常につらい思いをして、装具といっても、布のおむつをあててどんぶりをかぶせて、帯で腰に巻いていました。だから病気は知っていたけど、それが遺伝だったかどうかも病名も全く知らなかった。

でも私がこの病気をして、人工肛門をつけることを聞いたときには、『あぁ、これでお母さんの苦しみがわかる。そんな立場を与えられる』という、喜びというと変な表現だけど・・・。そして生まれたばかりの娘や家族でなしに『私が選ばれた、私でよかった』と本当に掛け値なしに思った。それは本当に昨日のことのようです。」

●手術の説明

「主治医からは、『大腸は全部ごぼう抜きで肛門まで(摘出して)、小腸の人工肛門になります。ただ、もしできたらこんな手術をしましょう。ひとつの方法として、コック博士の開発した手術でコンチネント・イレオストミーという術式があります』と。

ただ『この手術をするには12時間は要するので、体力がかなりいる。その手術ができるかどうか、体力的なこととかいろんな健康状態をこれからすべて検査して、それができるようであればそれをやりましょう』ということで、結果的にはその手術をしていただいた。今こうして仕事もできる体になり、本当に感謝しています。」

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※ 「家族性大腸ポリポーシス」 の詳しい内容については、
   独立行政法人 国立がん研究センター がん対策情報センター の解説をご参照ください。
   >>> http://ganjoho.jp/public/cancer/data/genetic-familial.html