がんと向き合う

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武藤 勇 さん
(むとう・いさむ)
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岡山県出身。41歳(1986年)のとき家族性大腸ポリポーシスによる大腸がんと診断され、大腸を全摘出、ストーマ(人工肛門)を小腸に造設。60歳でガソリンスタンドの経営を退き、人生を探す旅を開始。2010年旅先の北海道で感じた思いから、牧師になることを決意。自宅を「フリースペース風曜日」として開放、お年寄りから若い人まで多くの人が交流する場となり、自身の使命を追求する毎日。
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61日5箱のタバコをやめる

「腸閉塞は、もうタバコ吸えないですよ、痛くて痛くて。あばらで肺を傷つけてもタバコを吸っていたのが、腸閉塞でタバコを吸えない。やめられた。

昔はタバコを1日5箱、90本から吸っていた。やめようと思うたびに増えて5箱になったんだけど、失敗して失敗して、失敗するたびに増えていった。そして『これで失敗したら6箱になるかな・・・』というような本当に恐怖でした。

やめて10年ほど経って、ハワイ旅行で土産に買ってきたタバコをつい吸ったら、また増えてきて、10年やめていても、『またやめられるわ』と思って吸ったらもうだめ。3箱ぐらいまで増えてきて。だから今度はもう絶対に吸うまいと。今度は腸閉塞でやめられたんだから。自分の意志の弱さを味わったから、もう二度と吸ってはいかんと。今はもう全く吸いません。タバコのおいしさを体が知っているから、吸うともうやめられない。

『お父さん、もうタバコをやめてくれ』と子供たちや女房に言われていました。1日に5箱吸っていたその吸い方は、本当に悪い吸い方で、風呂の中で3本ぐらい吸ってましたから、あとから風呂に入る者が本当にたいへんなもんだ。そんなことを私はやっていたから、トイレの中もいつも煙だらけで、仕事から帰って夜、床についてからもひと箱近く吸っていたような。だから本当にむちゃくちゃなタバコ吸い、ヘビースモーカーも本当に度を越していました。

20年近く吸ったんじゃないかな。やめようとするたびに、やめられなくて反動でどーんどーんと増えてね、これは怖い。だからタバコがやめられないのはよくわかりますよ。自分がもう体験している。

酒は飲めないですね。今はアウトドアで、女房とキャンプで夜、ビールを350mL 1缶ぐらいはお付き合いで・・・。」