がんと向き合う

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藤井文雄 さん
(ふじい・ふみお)
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香川県出身。59歳(1999年)のとき会社の人間ドックで直腸がん(前がん状態)が見つかる。開腹手術を受け、ストーマを造設。3年後、原発性の前立腺がん(ステージT3a)が見つかり、ホルモン治療後、粒子線治療を受ける。現在は副作用を経過観察。2001年より日本オストミー協会兵庫県支部幹事、ピアサポーターとしてオストメイトの相談にのる。趣味は四国などの山歩きと読書(好きな吉村昭、司馬遼太郎はすべて読了)。
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1人間ドックで見つかる

「会社がある程度大企業だったので、50歳を過ぎると希望によって人間ドックを受けられて、そこで見つかりました。1泊の人間ドック専門のクリニックが大阪にあり、そこを受診したときに直腸がんが見つかったという状況です。2週間後に会社宛に速達が来て『もう一度すぐに来てください』ということで、『何事かいな』と思って行ったんです。『前がん状態ですから、どこかの病院に行って、内視鏡的に切除してください』ということで、軽い気持ちでかかりつけの先生のところに行きました。

『こんなことがあったんよ』と言うと、かかりつけの先生が悩みまして。がんセンターへかかろうとすると、ひと月以上待たされるのです。それで先生は『私が懇意にしている内科医が国立病院にいるから、そちらにしたらどう?』ということで、『じゃ、そうしましょう』と国立病院を受けました。」

●国立病院を受診

「はじめに、内科の先生がファイバースコープを入れて(直腸を)調べたのですけど、(検査で撮影した写真ばかり見つめていて)なかなか私に結果を話してくれないのです。しばらく待たされてから、『肛門から6pのところに腫瘍があり、普通は直腸ファイバースコープで簡単に摘出できるのだけど、ひだが入りこんだ反対側にあるから、組織を取り残す恐れがある。もしきっちりと取れなかったら、腫瘍がそこで何をしているかわからない。それががん化してきてたいへんなことになるから、内科的に切除するのは無理です』と言われて、それで外科のほうに回されました。

2日後に外科を受診してまた同じことを調べて、『やっぱりこれは人工肛門になります』ということで、そのときはじめて“人工肛門”という言葉を聞きました。

約1週間後に入院して手術しましたから、人間ドックの結果を知ってからストーマを造設するまで、20日ぐらいしかかからなかった。非常にスピードが速かったです。」

●手術室に入るときの気持ち

「麻酔をかけられて意識がなくなって手術に入るわけですけども、『もう意識が戻らないで、そのままになってしまうのかな』と一瞬ちらっと思いました。

死に対する恐怖感というか、未知のものに対する恐怖感ですね。時間はどうしてあるのかとか、どこまで行ったら空間が終わりになるのかということをずっと考えると、非常に恐怖感があって、それから死の恐怖感があるんですけども、それとはまたちょっと違う感じでした。『あぁ、これで終わりかな・・・』という気持ちになりました。」

Q.術後、目が覚めたときはどのような感じでしたか?

「そのときはぼーっと覚めましたから。『あぁ、これで生きたんだ・・・』という感じはなく、普通にしてたんですけど。あとでうちの者に聞くと、『ICU(集中治療室)で“痛い痛い”と大騒ぎやったんや』という。私はそういう記憶は全くなく、元に戻ったという感じですかね。」